「Wi-Fiセンシング」はさまざまな組織に変革を起こす可能性を秘めている。ただしいくらすごい技術であっても、広く使われるようになるとは限らない。普及のためには何が必要なのか。
無線LANが使用する無線周波数(RF:Radio Frequency)の信号を使い、人の行動や空間の状況の変化を認識する「無線LANセンシング」(Wi-Fiセンシング)。この技術を普及させるための鍵とは何か。
標準化団体IEEE(米国電気電子技術者協会)は、Wi-Fiセンシングの標準化に向けた取り組みを進めており、2024年までの完了を見込む。Wi-Fiセンシングの用途として期待されているのは、医療分野に加え、IoT(モノのインターネット)のシステムを取り入れた工場やスマートホーム(ITを活用する住宅)だ。今後、これらの分野を対象に、Wi-Fiセンシングに準拠したさまざまな製品が登場すると考えられる。
ネットワーク分野では近年、通信の制御と監視を強化するために、機械学習などの人工知能(AI)技術の使用が主流になりつつある。Wi-Fiセンシングもその例外ではない。Wi-Fiセンシングが目指している「無線LANがセンサーになる」という構想は、AI技術があって初めて実現可能になるからだ。
Wi-Fiセンシングを巡る技術開発に関して、シリコンバレー(IT系の新興企業が集まる米カリフォルニア州の地帯)を拠点にする組織をはじめとした、ITのプロ集団に期待が集まる。企業へのWi-Fiセンシングの普及には、「技術の品質」と「価格」の両方を重視した製品開発が欠かせない。数千ドルの無線LANアクセスポイント(AP)を購入しても、Wi-Fiセンシングがうまくいかないようであれば、Wi-Fiセンシングが普及するとは考えにくい。
私は個人的に、医療機関や工場、住宅でWi-Fiセンシングが実現する、あらゆるシーンを楽しみにしている。だからこそ、技術面(ユーザビリティ)と価格面(アフォーダビリティ)の両方を重視した技術開発の進展を願ってやまない。
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