スマートフォンのアプリケーションで簡単にタクシーを呼べる、Uberの配車サービス。このサービスを担う乗務員が、乗車運賃や乗務員の給与の設定に異議を唱えている。その中身とは。
配車サービスを提供するUber Technologies(以下、Uber)が、ロンドンで展開する配車サービスの運賃に「ダイナミックプライシング」(需要と供給に応じて価格を変動させる手法)を導入。これに対し、スマートフォンのアプリケーションを使って事業を請け負うタクシー乗務員と配送業者が組織する労働組合、App Drivers and Couriers Union(ADCU)が抗議した。
Uberが料金設定に導入したアルゴリズムは、走行時間や利用距離、予測ルート、予測交通量、乗車人数といった要素を基に料金水準を設定し、需要が高まった場合には加算運賃を追加することを可能にする。
欧州のニュースを扱うWebサイト「Brave New Europe」は2023年2月、UberがADCU宛てに2022年8月に送付した文書の内容を公開した。
それによるとUberは「数年前の運賃設定はシンプルでした」と前置きした上で、次のように説明した。「走行時間と利用距離を基に運賃を設定し、需要が高い時期には割増運賃を適用する『サージプライシング』を使って運賃を高く設定することができました」。次のような説明も入っていた。「蓄積したデータから学びを得て、時間帯、場所、距離に応じて競争力のある運賃を設定する高度な技術を手に入れるに至りました」
Uberは、乗務員の賃金と乗客の運賃を設定するアルゴリズムにどのデータを使用しているか、具体的には公表していない。Uberは乗務員と乗客の個人情報を使用して賃金と運賃を決めている可能性が高い、というのがADCUの主張だ。
ADCUは、深夜に帰宅する乗客や通院する高齢者といった弱い立場の乗客には、アルゴリズムが不利益を与える可能性があるとも指摘する。
第2回は、アルゴリズムの利用がタクシーの乗務員や乗客にどのような影響を与えるのかを整理する。
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