GitHubのCEOが夢見る「クラウドネイティブ開発」は何がすごいのかGitHubのCEOが語る未来【第7回】

GitHub社のCEOトーマス・ドームケ氏は、クラウドサービスがアプリケーション開発分野をより良くすると考えている。その考えを支える、GitHubが目指す「クラウドネイティブ開発」とは何か。

2023年05月04日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 ソースコード共有サービス「GitHub」は、AI(人工知能)技術を活用したソースコード自動生成ツール「GitHub Copilot」をはじめ、さまざまな開発者支援ツールを提供している。運営元のGitHub社(2018年にMicrosoftが買収)のCEOであるトーマス・ドームケ氏に、最新技術を活用したGitHubの、今後の展望を語ってもらった。

GitHubは何を目指すのか

ドームケ氏 GitHub Copilotは開発者の作業の一部を肩代わりできる。オンライン環境「GitHub Codespaces」は、企業の開発環境をクラウドサービスに移行することを目的としている。新しいプロジェクトに取り組む開発者は、そのプロジェクトと関係のある別のプロジェクトのチームと協業する必要があるということに、われわれは気付いた。そのチームは地球の反対側にいる場合があり、自分たちが手掛けるプロジェクトに関する全てのアプリケーションを設定するには、相応の時間を要する。

 GitHub Codespacesを使えば、1分もかからずにWebサイト開発フレームワーク(特定の機能を持つプログラムの開発を支援するプログラム部品やドキュメントの集合体)「Bootstrap」を導入可能だ。私は「iPad」を持って旅行するのを好む。GitHub Codespacesはそんな私のような人が、出先でのiPadを使ったシステム開発を可能にしてくれる。開発者はWebブラウザでGitHub Codespacesを立ち上げ、Webサイト開発に必要なツールをインストールすることなく、迅速にWebサイトの変更やプルリクエスト(ソースコードの変更内容のレビューを受けて統合すること)を実行できる。

 当然のことだが、アプリケーション開発のためにキーボードとディスプレイはまだ必要だし、開発者はレイテンシ(遅延)解消のためローカル環境にソースコードを置きたがる。そうだとしても、クラウドサービスに配置したコンテナに接続して、そこにある開発ツール群を利用するという選択肢を覚えておいてほしい。そうしたコンテナ内で開発者は、コンテナ内でアプリケーション開発における自動化プロセスを実施したり、開発環境を構成するツール群を最新状態にアップデートしたりすることが可能だ。これは最新状態を保つという意味で、コンテナ内の開発環境で必要なツールの有無やバージョン管理に関するセキュリティ担当者の懸念を軽減し得る。これがクラウドサービスの力だ。

 当社が「開発者クラウド」と呼ぶ、GitHubのクラウドサービスを利用した開発環境には、大きな未来があると信じている。クラウドサービスを利用したアプリケーション開発(クラウドネイティブ開発)を一般化することで、PCのCPUの演算能力やGPU(グラフィックス処理装置)の有無を気にせずに開発できるようになる。

 クラウドネイティブ開発は普及するはずだ。顧客管理システム「Salesforce」「Microsoft Dynamics 365」を使う営業担当者、ERP(統合業務)パッケージのクラウドサービス「NetSuite」「SAP S/4HANA Cloud」を使う会計士など、さまざまな専門家がすでにクラウドサービスを活用している。開発者はこれまで専門家がクラウドサービスに移行する手助けをしてきたのだ。ただし自分たちを除いての話だが。


 第8回は、GitHubが注力すべき領域をドームケ氏が語る。

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