「脱クラウド」を決定し、オンプレミスインフラへとスムーズにアプリケーションを移行させるためには、何に注意すればよいのか。脱クラウドのトラブル回避に必要な検討事項を説明する。
クラウドサービスで稼働させているアプリケーションをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」を決断したら、段階を踏んで移行を進める必要がある。移行に着手する前に、どのような準備が必要なのか。脱クラウドに必要な8つのステップのうち、5つ目から8つ目を説明する。
脱クラウドを開始する前に、停電やネットワーク障害など、作業を中断させる可能性のある緊急事態に備える。移行に失敗したり、予想以上に時間がかかったりする場合に備えて、移行前の状態に戻すロールバックの計画を策定することも大切だ。
オンプレミスインフラへのアプリケーション移行が完了するまでの間、クラウドサービスにホストした従来のアプリケーションのVMは、稼働させ続けることになる。その場合でも綿密にロールバック計画を立てることで、予定通りに移行が進まない場合に慌てずに済む。
データとアプリケーションをバックアップしたら、アプリケーションの移行作業を開始する。ほとんどの場合、データとアプリケーションのイメージファイルを、ネットワーク経由でオンプレミスインフラに転送できる。データ量が多い場合は、Amazon Web Services(AWS)の「AWS Snowball」といったデータ転送サービスの使用を検討する。
移行作業中もクラウドサービスでアプリケーションが稼働している場合、新たに生じたデータを移行先に同期させることが必要になる。フリーソフトウェアの「rsync」といったデータ同期ツールを使うことで、データの素早い同期が可能だ。
データとアプリケーションのオンプレミスインフラへの移行が完了したら、アプリケーションを本稼働させる前に、要件通りに動作するかどうかを確認する。データの破損がないことや、アプリケーションの挙動が移行前と一致することを確認するとよい。
負荷テストをして、アプリケーションの本稼働時と同等の大きさのデータを処理できるかどうかを確認することも大切だ。セキュリティツールのスキャン機能は、移行作業中に見落とした脆弱(ぜいじゃく)性や設定ミスの発見に利用できる。
オンプレミスインフラに移行させたアプリケーションが全ての検証に合格したら、アプリケーションへの全てのリクエストを、オンプレミスインフラに転送する。その後、クラウドサービスにホストしたアプリケーションを止める。この際にDNSレコード(ドメイン名とIPアドレスを対応させるためのデータ)を更新して、アプリケーションの正しいインフラを指定するのが一般的だ。オンプレミスインフラにデータを転送するために、ロードバランサーやファイアウォールの設定変更が必要になる場合がある。
第5回は、アプリケーションのインフラ移行手法の一つである「カナリアリリース」を説明する。
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