企業のネットワークではMPLSへの投資を抑え、ネットワークをサブスクリプション型で利用するNaaSへの投資が進む傾向にある。長期的なビジョンとしてはSASEが重要だという認識が広がりつつある。
ネットワーク機器ベンダーのAryaka Networksが米国、英国、ドイツ、インドの企業の経営層230人にIT投資動向を調査した年次報告書「Enterprise Network Transformation Report」によれば、経営層の98%がクラウドサービスへの投資の増額を計画していた。
その一方で注目を集めているのが、複数のセキュリティ機能やネットワーク機能をクラウドサービスとしてまとめて提供する「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)だ。なぜSASEを重視する動きが広がっているのか。
オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが広がり、企業の従業員は自宅やカフェ、本社などさまざまな場所からアプリケーションに接続するようになった。アプリケーションを配備する場所も自社データセンターやクラウドサービスの他、カメラやロボットなどのIoT(モノのインターネット)デバイスが稼働する倉庫や工場などに分散している。
こうした状況を受けて、どこからでも安全に安定してアプリケーションに接続できるネットワークを構築し、管理する重要性が高まっている。それを実現するために、クラウドサービスから集中的にネットワークとセキュリティを管理するSASEが役立つ可能性がある。
Aryakaの調査では、調査対象者の94%がネットワークとセキュリティの計画にはSASEが重要であると答えた。62%はスイッチング(トラフィックの中継と転送)技術である「MPLS」(マルチプロトコルラベルスイッチング)を使ったネットワークを廃止する計画であることが分かった。調査対象者の47%は、クラウドサービスとネットワークサービスの導入を加速する計画を立てていた。この調査結果から分かるのは、企業の経営陣が自社の長期的な成功にはネットワークとセキュリティの改善が不可欠だと考えていることだ。
経営陣は、継続的なクラウドサービスへの投資、ハイブリッドワーク、アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティの向上の必要性を認識している。同時に、長期投資の傾向としてMPLSの廃止と、ネットワークをサブスクリプション型で利用するNaaS(Network as a Service)を導入する傾向が明らかになった。
経済の不確実性が増している中で、「企業は適応力を備え、どのような状況にも対処できる必要がある」とAryakaのCEOマット・カーター氏は語る。
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