ファッション業界の異端児「River Island」を生んだ経営哲学英国ファッションブランドのCIOが語る【第2回】

老舗ファッションブランド「River Island」を手掛けるRiver Island Clothingは、2021年に新CIOを迎えた。同社で働き始めて、新CIOは同社の強みが経営のスピードにあること気付いた。その強みの根源とは。

2023年08月03日 05時15分 公開
[Mark SamuelsTechTarget]

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 ファッションブランド「River Island」を手掛け、英国に250店舗以上を持つ展開するRiver Island Clothingは2021年、最高情報責任者(CIO)にアダム・ウォーン氏を迎えた。ウォーン氏は、家電製品の販売サイト「ao.com」を手掛けるAO Worldや、オンライン小売業者N Brown GroupのIT部門で経験を積み、River Island ClothingのCIOに着任した。勤務を開始してから、同氏はRiver Islandの特徴が経営のスピードにあることに気付いた。その強みの根源は何なのか。

新任CIOが目の当たりにした“老舗ブランドの強み”とは

 ウォーン氏がRiver Island Clothingに入社した2021年10月、同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)に付随する課題に対処していた。その一つが、ソーシャルディスタンスを確保しながらの採用面接だった。採用面接はZoom Video Communicationsの「Zoom」や、Microsoftの「Microsoft Teams」といったWeb会議ツールを使ったものだった。入社が決まり、勤務初日のオフィスでウォーン氏は、自分が歓迎されていることをすぐに理解したという。「オフィスのドアを開けた瞬間、自宅に入ったときのような感覚があった」(同氏)

 「River Islandの特徴は、テンポの速さだ」とウォーン氏は語る。「企業として正しくあることを常に心掛け、企業としての持続可能性を強化しようとしている」のだという。その一例として同氏は、River Islandがパンデミックの最中、店舗と配送センター両方を閉鎖した点を挙げる。同社は、従業員の健康を守ることをいち早く決定した。

 ウォーン氏によると、River Islandの本質は同族経営(ファミリービジネス)であることに起因している。非上場の同社は、創業者の親族が経営を担う体制を継続している。「投資会社の何十人もと実施する会議はRiver Islandには必要はない」と同氏は指摘する。創業者の一族が経営を担ってきたことについて、「River Islandは競争の激しい小売業界における『聖域』だと言える」と同氏は語る。


 第3回は、River Islandにおけるウォーン氏の役割と取り組みを紹介する。

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