「シンクライアント」という用語は、もはや何を意味するのかが明確ではなくなってしまった。こうした“シンクライアントではない何か”に新しい用語を付けようとする動きがある。その“本命”とは。
クライアントデバイスの機能を限定し、サーバから転送された画面を操作するための必要最小限の機能を備えたシステムを「シンクライアント」と呼ぶ。シンクライアントに利用するクライアントデバイス(シンクライアントデバイス)は、サーバで稼働する仮想デスクトップや仮想アプリケーションを操作するための、必要最低限の機能や部品しか搭載していないことが一般的だった。
シンクライアント市場には、もはや「シン」(Thin:薄い、細い)とは呼べないほどに機能が充実した製品が登場している。こうした製品をどう呼ぶのが適切なのだろうか。
ベンダー各社は独自の用語を生み出したり、シンクライアントとは別の既存用語を使ったりすることで、本来のシンクライアントとの違いを明確にしようと努めている。ベンダーが使用する用語の例は、以下の通りだ。
仮想デスクトップの利用に適した多機能なクライアントデバイスや、そうしたクライアントデバイスが搭載するクライアントOSを表す業界標準の用語は、まだ存在しない。こうしたクライアントOSは、従来型のシンクライアントOSと、「Windows」「macOS」といった一般的なOSの中間に位置付けられる。
シンクライアントに代わる新しい用語を検討するとすれば、ある用語が考えられる。それは「リッチクライアント」だ。リッチクライアントという用語を採用すれば、シンクライアントという用語を、本来のシンクライアント向けの言葉に戻すことができる。Windows搭載PCやスマートフォンなどの「ファットクライアント」(ストレージなどのリソースやアプリケーションをローカルに搭載している一般的なPC)の話をしているのではないことも明確になる。
IGEL COSMOSやStratodesk NoTouchといったシンクライアントOSは、リッチクライアントを構築するのに利用可能なクライアントOSであり、「リッチクライアントOS」と呼ぶのがふさわしい。Googleの「ChromeOS Flex」(同社のクライアントOS「ChromeOS」と同等の機能を利用できるようにするクライアントOS)も、リッチクライアントOSに分類できる。
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