世界中でIT人材不足が問題視されている。ビジネスの成長を促しながら、社内のIT人材の離職率を抑えるために、企業は何をすべきなのか。
米TechTargetと英Computer Weeklyは、英国のIT労働者(全ての役職、階級を含む)を対象にIT業界の給与に関する年次調査を実施している。2023年の調査によると、回答者が挙げる転職理由としてトップになったのが「より高い給与」で、「スキルの向上」がそれに続いた。
企業は必要なITスキルを備えた人材不足に苦しんでいる。昨今、IT業界では人材淘汰(とうた)がささやかれ、不景気によって数千人規模の労働者が解雇されたという話は珍しくない。それにもかかわらず、本調査において「自社のIT部門はレイオフ(一時解雇)や余剰人員の整理をした」という回答は4分の1程度しかなく、6割近くの企業がIT人材の雇用を増やしていた。どういうことなのか。
IT人材には依然として需要がある。回答企業の24%は「今後1年以内にIT関連職の人材雇用を検討している」と答えた。ITインフラ管理やクラウド技術に関する人材を探しているという企業は20%に上る。回答企業の17%は、DevOpsやアプリケーション開発、ソフトウェア開発の人材確保を検討している。
企業向けにオンライン学習サービスを提供するSkillsoftでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域担当バイスプレジデントを務めるアガタ・ノバコフスカ氏は、IT職の労働者にとって給与は重要な要素だという点については同意を示す。一方で同氏はSkillsoftの独自調査結果を示し、次のように主張する。「従業員が定着する理由は給与だけではない。IT職の労働者の半数以上は、仕事への満足度が低下したことを理由に転職を考えている」
ノバコフスカ氏によると、ビジネスの成長を促しながら離職率を抑えるには、IT分野の従業員の成長と能力開発に費用を投じることが有効だ。従業員が充実感、関与感、意欲を感じられるように、自社の文化を変える積極的な措置を講じなければならない。「ジェネレーティブAI(生成AI)のような、職場を変革する新技術に追い付くのに苦労しているのであれば、こうした投資は特に重要だ」と同氏は強調する。「企業は、事業のニーズを満たすだけでなく、キャリアアップを目指す従業員に合わせた明確な能力開発計画を作成する必要がある」
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
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