GoogleやMetaも実戦投入 「コンピュテーショナルストレージ」活用例コンピュテーショナルストレージの可能性【後編】

演算機能とストレージが一体化した「コンピュテーショナルストレージ」は優れた演算処理能力を持ち、大量のデータを扱う用途において効力を発揮する。実際の製品や活躍する場面とは。

2024年01月10日 05時00分 公開
[Peter Ray AllisonTechTarget]

関連キーワード

インフラ | ストレージ


 演算機能をストレージに組み合わせた「コンピュテーショナルストレージ」は、従来のストレージシステムよりも高速な演算処理が期待できる。コンピュテーショナルストレージはどのような用途で特に役立つのか。その仕組みを踏まえて解説する。

GoogleやMetaも活用するコンピュテーショナルストレージ

 集中的にデータを処理する必要がある特定のタスクには、コンピュテーショナルストレージのオンボードプロセッサが理想的だ。リアルタイム分析、機械学習、コンテンツ配信ネットワーク向けの動画圧縮などのタスクに向いている。

 ただし単一のコンピュテーショナルストレージデバイスを利用する場合は、演算処理のパフォーマンスの向上が特定の領域に限定され、コスト効率も悪くなる可能性がある。そのため、パフォーマンスの万能の解決策にはなりづらい。コンピュテーショナルストレージの処理能力が限られていることを考えると、複雑なシミュレーションのモデリングなど、コンピューティング処理が集中するタスクには、専用プロセッサの方が優れたパフォーマンスを発揮する。

 データを集中的に使用するタスクはコンピュテーショナルストレージデバイスが実行するため、システムプロセッサは、ワークロードの中で集中的にコンピューティング処理に専念できる。そのためコンピュテーショナルストレージデバイスを搭載するシステムは、従来型アーキテクチャよりも一般的にCPUを集中的に利用する可能性が低くなる。この方法でシステムを管理すれば、全体的なパフォーマンスが向上し、タスクを高速かつ効率的に実行可能だ。これにより、処理時間を重視するアプリケーションを運用しやすくなる。

 コンピュテーショナルストレージデバイスは既に市場に流通している。コンピュテーショナルストレージを導入済みの企業にはTesla、Google、Meta Platforms、Yahooなどがある。Amazon Web Services(AWS)やAlibaba.comなどのコンピューティングリソースを提供するベンダーも、一部の大規模データセンターにコンピュテーショナルストレージを運用中だ。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...