「ローコード」には限界が……それでも“市民開発”が期待される理由ローコード/ノーコード開発の利点と注意点【第2回】

ローコード/ノーコード開発ツールに対する期待は高まる一方で、「限界がある」という意見も存在する。実際のところ何に役立ち、どのようなリスクを抱えているのか。“市民開発”に踏み切る企業の理由とは。

2024年01月30日 05時00分 公開
[Marc Ambasna-JonesTechTarget]

 企業はプログラミングスキルがない「シチズンデベロッパー」(市民開発者)によるアプリケーション開発の実現に興味を示し始めている。これを実現するのが、最低限のソースコードを記述する「ローコード開発」、ソースコードを記述しない「ノーコード開発」といった開発手法だ。さまざまなベンダーがローコード/ノーコード開発ツールを市場に投入する中で、ローコード/ノーコード開発ツールに対する有識者の意見は分かれている。

「ローコード開発」の限界と可能性 企業が“市民開発”に期待する理由とは?

 データ統合ベンダーJitterbitのバイスプレジデント兼EMEA(欧州、中東、アフリカ)ゼネラルマネジャーであるジュースト・デボット氏は、ローコード開発ツールに対して批判的な見解を示す。デボット氏によれば、全てのローコード開発ツールは必ずしもローコード開発の原則に準拠しているわけではない。ローコード開発ツールで高度な機能や細かい要件を実装するには限界があり、最終的に誰も使わないアプリケーションを生み出しかねない。「業務アプリケーションと自動的に、かつ過不足なく連携できるローコード開発ツールを使うことで、市民開発のリスクを回避できる可能性がある」と同氏は付け加える。

 一方で調査会社Gartnerのシニアマーケットリサーチスペシャリストであるバルシャ・メータ氏は、アプリケーションの迅速な提供と、自動化ワークフローのカスタマイズに対する企業の要求は高まっていると考える。「企業はますますローコード開発に目を向け、ITが専門の開発者と非IT分野に携わる従業員の両方に多様なローコード開発ツールを提供している」とメータ氏は言う。この動きは、現代のビジネスに必要なデジタルコンピテンシー(テクノロジーを効果的に使う能力)と、迅速な開発および提供を目標とするものだ。

 音楽配信サービス「Spotify」を運営するSpotify Technologyが、従来のソースコードベースの開発から市民開発に移行した背景にも、同様の考え方が存在する。よりアジャイル(小規模な変更を短期間のうちに繰り返す手法)かつ迅速な市場へのサービス投入を実現するため、Spotify Technologyはロボティックプロセスオートメーション(RPA)の専門部署であるセンターオブエクセレンス(CoE:組織横断的な取り組みを実施する拠点)を設立した。RPAを使用したコーディング、ITガバナンス(管理体制)、開発、セキュリティ、サービスセンターの構築に取り組み、開発能力を向上させるというアイデアに引かれたという。

 Spotify Technologyが選んだのは、RPAベンダーUiPathの同社名ツールへの移行だった。移行の目的は、より集中的な自動化を実現するとともに、開発チームの負担を軽減することだった。どの部門でもアプリケーションを開発できるようにすることで、ビジネスをより迅速にし、アジャイルかつ積極的なサービスの提供が可能になるという狙いがあった。


 次回は、ソフトウェアベンダーが考えるローコード/ノーコード開発の効果を取り上げる。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news035.jpg

低迷するナイキやアディダスを猛追する「HOKA」の “破壊的”ブランディングとは?
ランナーの間で好感度が低迷しているNikeに対し、ディスラプター(破壊的企業)として取...

news051.jpg

新紙幣の発行、3社に1社が日本経済に「プラスの影響」と回答――帝国データバンク調査
20年ぶりの新紙幣発行は日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。帝国データバン...

news196.png

WPPとIBMが生成AIを活用したB2Bマーケティング領域で連携
IBMのビジネス向けAIおよびデータプラットフォームである「watsonx」の機能を「WPP Open...