クラウドサービスの利用料金の上昇が続いている。IaaSだけではなく、SaaSでの値上げが顕著だ。2022年から2024年にかけて、SaaSの利用料金に何が起きたのか。
クラウドサービスの利用料金の引き上げが、IT担当者の悩みの種となっている。米国政府が2023年11月に発表した生産者物価指数(PPI)では、データ処理やホスティング(サーバ貸し出し)関連のサービスの利用料金が前年比3.2%増を記録するなど、クラウドサービスの値上がりが顕著だ。IaaS(Infrastructure as a Service)が影響を及ぼしていると考えられるが、むしろSaaS(Software as a Service)の影響が目立っている。
クラウドサービス市場で値上がりが続いているのは、IaaSだけではない。SaaSのコスト最適化ツールを提供するVertice Technology(以下、Vertice)によると、SaaSの2023年のインフレ率は8.7%だった。2023年11月に同社が発表したレポート「SaaS Inflation Index: 2024」(SaaSの年次インフレ指数)は、過去12カ月の間にSaaSベンダーの4分の3が利用料金を引き上げたことを示している。
Verticeで北米担当のバイスプレジデントを務めるジョエル・ウィンデルス氏は次のように説明する。「利用料金を引き上げなかった4分の1のベンダーも、そのほとんどが利用料金を上げる代わりに、ユーザー企業に対する値引き額を下げている。そのため実質的な利用料金の値上げが起こっている」
SaaSのインフレ率と、平均的な物価のインフレ率の格差は、Verticeによると広がっている。同社が調べた指数では、SaaSのインフレ率は2022年が9%、2023年は8.7%と比較的高水準で推移している。一方で国連が発表したレポート「World economic situation and prospects as of mid-2023」(2023年半ばの世界の経済状況と見通し)によると、世界のインフレ率は、2022年の7.5%から2023年の5.2%へと下落している。VerticeはSaaSと消費者物価のインフレ率の格差が2022年から2023年にかけて広がり、SaaSのインフレが顕著になっていると伝えている。
なぜクラウドサービスの値上げが続くのか。後編で説明する。
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