バッテリー式UPSのリスク【後編】
データセンターの「UPS」でまさかの大惨事に? バッテリーで何が起きるのか
データセンターでバッテリー電源搭載のUPSを使用する場合は、火災リスクに留意する必要がある。大量のリチウムイオンバッテリーを使用する場合、どのようなリスクがあるのか。事前に検討すべきことは何か。
データセンターの電力供給が止まった際に、非常用電源として機能する「無停電電源装置」(UPS)。バッテリー式のUPSを使用する場合は、火災のリスクがあることを忘れてはいけない。UPSを導入して安全に運用するためには、どのような点を押さえておけばいいのか。
「リチウムイオンバッテリー」の使用に伴うリスクとは?
併せて読みたいお薦め記事
連載:バッテリー式UPSのリスク
データセンター火災の対処法
以前は主に、制御弁式鉛蓄電池(VRLA)が普及していたが、昨今はリチウムイオンバッテリーの採用が進んでいる。消防設備の販売企業Control Fire Systemsは、蓄電システム(ESS:Energy Storage System)にリチウムイオンバッテリーを使用することにはメリットがある半面、重大なリスク要因もあると公式Webサイトで指摘している。セル(リチウムイオンバッテリーの最小構成単位)の誤作動は熱暴走(部品が高温になることで制御不能になること)を引き起こす可能性があるからだ。そうなると高熱で可燃性のガスが発生し、周囲のバッテリーが爆発し、損傷が広がる可能性があるという。
バッテリー火災は、爆発のリスクを伴う。その原因になる熱暴走は、バッテリー内のショート、過度な充放電、高熱などの外部要因によって生じる。火元がなくても、有毒な化学物質が流出するリスクにも備えなくてはならない。
英国の防火協会Fire Protection Associationによれば、商用・産業用でESSを用いる場合、満たすべき安全性評価要件は広範囲に及ぶ。物理的な損害と事業中断の両方を考慮に入れ、バッテリーの種類、ESSの設置場所、レイアウトなどに基づき、防火戦略を策定する必要がある。「安全なシステム設計、熱暴走の防止、早期発見、自動消火などの措置を組み合わせることが望ましい」と同団体は説く。
リチウムイオンバッテリーは小型の電子機器や電気自動車、産業用ESS 、グリッドストレージ(送電網の内部に電力を蓄える仕組み)などへの採用が進むにつれ、注目度が高まってきた。それと同時に、リチウムイオンバッテリーの規制に関する議論も活発になっている。
フライホイールという回転体でエネルギーを蓄える「フライホイール式」のUPSと比較すると、リチウムイオンバッテリーは火災のリスクが大きくなる上、リスク管理にかかるコストがかさむ。特に大型バッテリーの導入を目指す場合、火災保険や冷却システム、監視システム、物理的なスペース、メンテナンスコスト、廃棄コストなどを事前に検討する必要がある。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
6
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
7
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
8
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
9
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
10
「Windows派」「Linux派」を分ける決定的な違い
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー