IT製品・サービスの価格は上昇傾向にあったが、今後はどう推移するのか。調査会社Gartnerの見解を踏まえて、IT製品・サービスの価格の動向と、その背景を探る。
IT製品・サービスの価格が上昇する傾向は2022年から2023年にかけて顕著だった。IT製品・サービスの価格はIT調達の予算計画に直接的に影響する部分があるので、ユーザー企業にとっては先行きを見通しておくことが重要だ。2024年以降、ITサービスの価格は上がるのか、下がるのか。調査会社Gartnerは今後の価格推移をどう見込んでいるのか。
Gartnerによると、ITサービスの価格は、2022年にIT需要の高まりやIT人材の不足によって上昇した。2023年は価格が安定する傾向にあった。2024年についてGartnerのリサーチ担当バイスプレジデント、ジョンデビッド・ラブロック氏は「市場状況を考慮すると、ITサービスの価格は2024年に大きくは上昇しないだろう」と語る。経済状況を示す総合的な指標が、ITサービスの価格上昇を裏付けてはいないと同氏は説明する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中は、米国ITベンダーで従業員の離職が盛んになり、離職率が高まる傾向があった。「離職率は長期的に見て正常な範囲に戻っている」とラブロック氏は述べる。離職率が低いほど、従業員の給料を上げる動きが鈍くなる。それに連動して、ITサービスの価格上昇は続かないと同氏は見込む。
一方でITサービスの需要は堅調に推移しているとGartnerは見ている。「ユーザー企業は人手不足に直面しているため、マネージドサービスの利用が広がっている」とラブロック氏は語る。GartnerはITサービス分野におけるユーザー企業の支出額が、2024年に前年比10.4%増になると予測している。
今後、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)をITサービスベンダーが導入する動きが広がれば、ITサービスの価格が下がる可能性がある。「生成AIの活用によって経験の浅い従業員の生産性が向上し、コスト効率が改善されてサービス価格の低下につながる」(ラブロック氏)
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