「メインフレーム脱却」を拒み続ける“亡霊”の正体メインフレームは生き残るのか?【前編】

終わりが近いとささやかれてきた「メインフレーム」は、依然として現役で企業ITの中心的な役割を担っている。企業が“脱メインフレーム”に踏み切らない背景には、何があるのか。

2024年03月15日 08時30分 公開
[Ed ScannellTechTarget]

 一部のITベンダーは「メインフレームの役割は終わる」と言い続け、代替技術を提案してきた。確かにメインフレームがサーバ市場に占める割合は減少傾向にある。だが、「メインフレームを捨てる」という選択をする企業はほとんどないという。その背景には何があるのか。

「脱メインフレーム」に立ちはだかる“亡霊”とは

 ソフトウェアベンダーMicro Focusがブログで2022年2月に公開したエントリ(投稿)によると、メインフレームのアプリケーションを構築しているプログラミング言語「COBOL」のアクティブコード行はおよそ8000億行に上るという。この数字は「脱メインフレーム」を推進するITベンダーの想定を大きく上回るものだと考えられる。少なくとも今後10年間、企業の大半はCOBOLで書かれたメインフレーム用アプリケーションを使用し続けることになるだろう。

 米ITコンサルティング企業J. Gold Associatesでプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるジャック・ゴールド氏は、「メインフレームがいまだ存在する理由の一つに、メインフレームで稼働するデータベースの存在がある」と指摘する。

 メインフレームは「命令セットアーキテクチャ」(ISA)で構成されている。ISAはデータベースの各種機能を活用できるよう調整されてきた。一方のデータベースベンダーもユーザー企業の要望に基づき、メインフレーム向けに製品を改良してきた歴史がある。こうした製品の進化が、ユーザー企業のメインフレーム脱却を阻む要因の一つとなっている。

 さらに、メインフレーム上で稼働するデータベースをクラウドサービスや分散システム(複数のコンピュータが処理を分担するシステム)に移行する際、膨大な労力がかかる。一方で、メインフレームを維持する場合はハードウェアをアップグレードするだけで済むため、企業にとっては後者の方が選択しやすい。


 中編は、メインフレームのクラウド移行を困難にする要因を解説する。

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