「DHCP」を解説 IPアドレスの“ミス”をなくす仕組みとは?IPネットワーク再入門【第4回】

ネットワーク管理者がデバイスごとにIPアドレスを手動で設定することは困難であるため、DHCPという仕組みがある。ネットワーク管理の基本となるDHCPの仕組みを解説する。

2024年05月14日 08時00分 公開
[Damon GarnTechTarget]

関連キーワード

ネットワーク | データ通信 | 運用管理


 IPアドレスに関する設定に何らかのミスがあると、ネットワーク内でデバイス同士が通信できなくなることがある。例えば、サーバやルーター、プリンタなどのデバイスにIPアドレスやサブネットマスク(IPアドレスのうち、ネットワークアドレスとホストアドレスを識別する数値)の設定を手動でするとミスが起こりやすい。ミスを防ぐために、「DHCP」(Dynamic Host Configuration Protocol)という仕組みがある。どのような仕組みなのか。

「DHCP」の仕組みとは?

 DHCPはネットワーク内のデバイスに自動でIPアドレスを割り当てる仕組みだ。DHCPサーバは、利用可能な一連のIPアドレス設定を保持し、クライアントデバイスにアドレスを割り当てる。正しく設定されたDHCPサーバを使用すると、入力ミスは発生しない。

 クライアントデバイスがDHCPサーバに到達できない場合、IPアドレスを設定する「APIPA」(Automatic Private IP Addressing)という技術で自身にデフォルトのIPアドレスを割り当てる。ARIPAで割り当てられたIPアドレスは169.254.1.0から169.254.254.255までの範囲と決まっており、このアドレスのデバイスはほとんどのネットワークで正しく通信しない。そのため、ネットワーク管理者は、クライアントデバイスがDHCPサーバに到達できない理由を調査する必要がある。例えば、サーバがダウンしていることが原因の一つとして考えられる。

まとめ

 最後に本連載の内容をまとめる。

 IPアドレスとサブネットマスクは、ネットワーク通信の基本的な構成要素だ。ネットワークに接続する各コンピュータは、ネットワーク部とホスト部からなる一意のIPアドレスを持っている。ネットワークの設計によって、これらのIDは常に一貫しているわけではない。

 サブネットマスクは、システムと管理者がIPアドレスのどの部分がネットワーク部で、どの部分がホスト部かを判断するのに役立つ。ネットワーク管理者は通常、トラブルシューティングの最初にこれらのネットワーク設定を確認する。

 ネットワーク管理者は、より大きなネットワークをサブネットに分割し、デバイスのIPアドレスとサブネットマスクは、そのデバイスがどのネットワークセクションに属しているのかを示す。管理者はセキュリティとパフォーマンスの管理のために、サブネットを使用してトラフィック(ネットワークを流れるデータ)を分離する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...