「応募」にも「選考」にも生成AI
生成AI選考で「有能人材」はすぐ売り切れ 採用担当はどう向き合うべき?
生成AIの活用が進めば、採用の分野では「応募」も「選考」もより効率的になると考えられる。その一方で、「AI技術では代替できない業務」も存在する。採用担当者はこの状況にどう向き合うべきか。
人材採用におけるAI(人工知能)技術の活用が広がっている。調査会社Lighthouse Research & Advisoryが2024年4月に開催したウェビナーで、同社の最高調査責任者を務めるベン・ユーバンクス氏は「求職者の大半が求職活動にAI技術を利用している」と指摘した。求職者向けのAIサービスの例として、Zoom Video Communications(以下、Zoom社)のWeb会議ツール「Zoom」を使って実施した面接の内容を記録し、フィードバックを提供するサービスや、特定の求人内容に合わせて応募書類や履歴書の内容を最適化するための情報を提供するサービスなどがある。
一方で企業が採用活動にAI技術を導入することで、選考作業の効率化が進み、採用部門に必要な従業員数は減少するとユーバンクス氏は予測する。こうして応募にも選考にもAI技術が使われる中で、人間にはどのような役割が求められるのか。
採用活動で求められる“人間にしかできない効率化”
「求職者向けのAIサービスは短期的には便利だが、求職者が提出する履歴書がどれも似通った内容になる可能性がある。企業の採用部門は、履歴書で求職者をふるい分けることが難しくなり得る」ユーバンクス氏はこう指摘する。
一方でレンタカー会社Enterprise Holdings(Enterprise Mobilityの名称で事業展開)でIT人材獲得部門の責任者を務めるサラ・フォウペル氏は「人間だから担うことができる役割もある」と説明する。Enterprise Mobilityは、1対1での面接やグループ面接ではなく、職位や部門が異なる2~3人の面接官が1人の採用候補者と面接するパネルインタビューを実施している。この結果、採用候補者は何度も面接を受ける必要がなくなり、採用部門は採用までの時間を短縮できるようになった。
優秀な人材はすぐに採用が決まる
「優秀な人材は、あっという間に採用されてしまう。だからこそ、採用プロセスは効率化するべきだ」フォウペル氏はこう強調する。しかしながら、パネルインタビューを導入するのは容易ではなかったという。自分が管理する部門に適した人材を採用することに慣れている管理職の中には、さまざまな立場の面接官が集団で候補者と面談することに抵抗を感じる者もいた。このような課題への対策として、Enterprise Mobilityはパネルインタビューの本格的な導入の前に、試験的なパネルインタビューを実施した。そこで施策の旗振り役となってくれる従業員を特定し、協力を要請したという。
ユーバンクス氏は、採用候補者の発掘やマッチング、選考プロセスにAI技術を活用することで効率化に取り組む企業もあると話す。一方でこの動きには注意が必要だ。経営層が持つ知見や熟練したスキルを持つ人事担当者の職務をAI技術が再現することは難しいためだ。「アルゴリズムが企業内に存在する知見や職務を組み合わせて成果を発揮することはできない」ユーバンクス氏はこう指摘する。
人材関連企業リクルートの子会社で、オンライン求人情報サイト「Indeed」を運営するIndeed.comでエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるラジ・ムカルジー氏は、今回のウェビナーで同社の新サービス「Smart Sourcing」を紹介した。同サービスは、以下のような機能を搭載している。
- AI技術による採用候補者のレコメンド
- 採用候補者がその職務に適している理由を説明するサマリーの提供
- 経験年数が要件に足りないといった理由で候補者リストに入らなかった人材の抽出
ムカルジー氏はSmart Sourcingを提供する狙いが、採用候補者の応募機会を増やすことにあると説明する。Smart Sourcingが目指しているのは、採用候補者の勤務年数や学位といった条件よりも、専門性やスキルを重視した採用プロセスを実現することだ。
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