無線LAN規格の「Wi-Fi 7」に準拠した無線LANアクセスポイントを利用する企業が出始めた。イタリアのホテルPassalacquaがWi-Fi 7の無線LANを採用した理由とは。
ホテル事業を手掛けるMetaが運営するイタリアのホテルPassalacquaは2024年3月、ネットワークベンダーRuckus Networks(旧Ruckus Wireless、2019年にCommScopeが買収)の「IEEE 802.11be」(Wi-Fi 7)に準拠した無線LANアクセスポイント(以下、無線LAN AP)「Ruckus R770」を導入した。
セレブ向けのホテルとして好評を得ているPassalacquaがWi-Fi 7準拠の無線LAN APを導入したのには、“ある理由”があった。
ローマ教皇インノケンティウス11世が所有していたコモ湖岸沿いの土地に位置するPassalacquaは、18世紀にアンドレア・ルチーニ・パッサラクア伯爵によって建てられた。伯爵の依頼を受けて建築家のフェリーチェ・ソアーベとデザイナーのジョコンド・アルベルトーリによって設計され、建設された。その後長年にわたって、この建物はイタリアで有数のセレブが集まる場所となった。
Passalacquaは2022年6月にホテルとしてオープンした。3つの建物に24室のスイートルームを備えており、2023年には飲食関係の調査会社50 Best Discoveryが発表した「世界のベストホテル50」(The World’s 50 Best Hotels)ランキングで首位に輝いた。
PassalacquaがWi-Fi 7に準拠したRuckus R770を採用した理由は、「ホテルのサービスレベルに見合ったデジタル体験を提供する」ためだという。
Wi-Fi 7は無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)から伝送容量や同時に接続できる端末数などの性能を強化している。宿泊客が以下のような用途やユースケースで、遅延や中断を気にせずネットワークを使えることを期待している。
Passalacquaはホテルの従業員が利用するITツールやサービスについても、ネットワークの混雑に悩まされない状態にしたいとしている。
Ruckus R770は、クラウドサービスの「RUCKUS AI」と組み合わせることでさらなる性能を発揮する。AI(人工知能)技術と機械学習(ML)によって、インシデントを重要度別に自動で分類する。仮想ネットワークアシスタント機能「Melissa」によって自然言語処理でネットワークの状態を監視できる。これらの仕組みによって、ネットワークのレジリエンス(回復力)を高めつつネットワーク管理業務を効率化するという
Passalacquaは無線LANのセキュリティプロトコル「Wi-Fi Protected Access」(WPA)の最新版「WPA3」のようなセキュリティ機能を利用して、宿泊客とスタッフに、金融取引データでも個人情報でも安全に扱えるネットワーク環境を提供する計画だ。
「Passalacquaは世界から訪れる宿泊客に、卓越したサービスとアメニティを提供することを目指している。優れたWi-Fi接続がサービスや体験に貢献することは確かだ」。Metaの最高執行責任者(COO)を務めるアンドレア・カニージャ氏はそう語る
CommScopeのシニアバイスプレジデントで、ネットワーキング、インテリジェントセルラー、セキュリティソリューション担当のプレジデントを務めるバート・ジョルダーノ氏は、「Wi-Fi 7は上質な体験を期待するラグジュアリーホテルの宿泊客の期待に応えるものだ」と語る。
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