開発者が使う「KISS」「YAGNI」「TAGRI」は、ソフトウェア開発の原則とベストプラクティスを表す用語だ。開発現場でどのように使われているのか。それぞれの意味と併せて解説する。
開発現場でよく使われる用語「KISS」「YAGNI」「TAGRI」は、ソフトウェア開発における設計原則やベストプラクティスを表すもので、ユーモアを交えたカジュアルな表現でもある。それぞれの意味や使われ方を解説する。
KISSは「Keep it simple, stupid」の略称で、「複雑にするな、バカ」という意味で、システムやコードを可能な限り単純に保つことを推奨する原則だ。「バカ」とあるが、侮辱を意図するものではない。
経験の少ない開発者は、システムに必要以上の設計を盛り込み、作業を無駄に複雑にしてしまうことがある。このような事態を防ぎ、システムが誰にとっても分かりやすい状態を確保するために用いられるのがKISSの原則だ。
例えば、ミーティングやコードレビューの際に、複雑過ぎる設計や実装をシンプルにするよう提案する場面で、「KISSの原則を忘れずに」といった具合で使われる。
YAGNIは「You Ain’t Gonna Need It」の略称で、直訳すると「そんなもの要らないよ」だが、意訳すると「余計なものを実装しない」という考え方になる。
開発者はソースコードを書く際に、「将来この機能が必要になるかもしれない」と考え、現在は必要のない機能を作り込んでしまう傾向がある。これは良くない習慣だ。「いつか必要になるだろう」と考えてメソッドや関数を追加しても、使わないことが往々にしてあるため、時間の無駄になってしまう。
「今、必要なものだけを実装する」というYAGNIの教訓によって、開発コストの削減や、システムの保守性向上といったメリットを見込める。無駄な作業を避けるための助言として、「その機能、YAGNIじゃない?」といった具合で使われる。
TAGRIは「They Ain’t Gonna Read It」の略称で、直訳すると「そんなの誰も読まないよ」、意訳すると「不要なドキュメントは作らない」となる。
これは、ドキュメントを過剰に作成しないための戒めだ。ユーザー向けに詳し過ぎる説明書を作っても、実際には読まれないことが多く、時間の無駄になってしまう。
ドキュメントや仕様書について議論しているときに、「この部分はTAGRIになりそうだ」といった具合で使われる。
次回は、ソースコードを書く際に役立つIT用語を紹介する。
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