ソフトウェア開発の高精度な見積もり・計画策定を支援する「KnowledgePLAN」プロジェクト管理ツール紹介:構造計画研究所編

精度の高い実績データがなく、勘と経験に基づいてソフトウェア開発プロジェクトの見積もりを策定する企業は多い。しかし、過去の経験だけでは対応できない案件も増え、精度の低い見積もりとなることもある。

2010年05月19日 08時00分 公開
[唐沢正和]

手作業での見積もり策定が招く赤字プロジェクト

 ソフトウェア開発プロジェクトが失敗に終わるパターンは幾つか考えられる。「納期に間に合わない」「成果物の品質が低い」「予算をオーバーする」などだ。中でも、当初の予算を上回るコストが発生してしまう赤字プロジェクトは典型的な失敗例といえるだろう。そして、その原因となっているのが「プロジェクト受注段階における過小な見積もり策定」であることが多い。

 現在、ソフトウェア開発プロジェクトを受注するに当たり、多くの企業ではこれまで蓄積してきた経験を基にした精度の高いデータがなく、プロジェクトマネジャー(以下、PM)の勘や経験に頼って、顧客の要件仕様に合わせて見積もりを策定している。しかし、自社の持つ経験値からのデータだけでは、精度の高い見積もりを策定することは難しい。また「プロジェクトが進んでいくうちに要求仕様が膨れ上がり、終わってみれば当初見積もりを大幅に上回るコストが発生していた」というケースも少なくない。

 また、データ化されていない個人的な経験を基にした手作業での見積もり策定は、PMのスキルによって、その精度が大きく左右されてしまうという問題もある。「豊富なプロジェクト管理経験を持つベテランのPMであれば、精度の高い見積もりを策定してくれるはず」という考えもあるが、Webアプリケーション開発などのように、過去の経験だけでは対応しきれない開発案件も増えているのが現状だ。

画像 構造計画研究所の加治屋氏

 構造計画研究所 ソフト工学センター 定量化ソリューション マーケティング&セールス マネージャの加治屋卓見氏は「開発プロジェクトの運用効率化のために、プロジェクト管理ツールを導入する企業が増えてきているが、一般的なプロジェクト管理ツールでは見積もりの精度向上にはつながらない」と指摘する。これに対して、同社が提供するソフトウェア見積もり支援ツール「KnowledgePLAN」は、PMの経験レベルに左右されずに、信頼性の高い見積もりが策定できると説明する。今回は、KnowledgePLANの特徴的な機能を紹介する。

1万件以上の豊富なプロジェクト実績データを搭載

 KnowledgePLANは、米国のSPRが1997年からワールドワイドに展開しているソフトウェア開発プロジェクトの見積もり・計画策定ツールである。KnowledgePLANでは、1万件を超えるプロジェクト実績データを搭載した知識データベースを基に、プロジェクトの所要工数や期間、品質、コスト、成果物の規模などを予測できる。構造計画研究所は2008年に同製品の国内総代理店となり、日本市場での販売に力を注いでいる。2010年2月には最新バージョンとなる「4.3」をリリースしたばかりだ。

画像 KnowledgePLAN画面《クリックで拡大》

 加治屋氏は、KnowledgePLANでは「分類」「サイジング」「属性」「オーバーライド」という4つの要素を知識ベースに組み合わせることで、より高精度の見積もり策定を実現すると説明する。同社が発行する書籍『ソフトウェア見積りのすべて』によれば、手作業で見積もりをした場合、75%以上のプロジェクトで35%以上の誤差が発生し、その誤差は最大50%を超えるケースもあるという。一方、ツールを使って見積もりをした場合は、45%のプロジェクトが約5%以内の誤差に収まり、最大誤差も30%程度にとどめることができると説明する。

開発規模を定量化する「FP値」に対応

 KnowledgePLANは、どのようにしてプロジェクトの見積もりを算出しているのだろうか。実際に、KnowledgePLANの利用手順を追っていくと分かりやすい。

 まず、必須項目として設定する要素がプロジェクトの分類とサイジング。分類ではプロジェクトの分類を明確にするための要素として、プロジェクトの特性、スコープ、トポロジー、クラス、タイプの5つの分類項目をそれぞれ選択する。サイジングは、プロジェクトの開発規模を判断する要素。見積もり策定を行うタイミングに応じた規模把握ができるように、アナロジー(類似性)、コンポーネント、メトリックという3種類の規模設定を用意している。この中で、最も精度が高いのがメトリックで、その規模尺度として「ファンクションポイント」(以下、FP)値を指定できる点が、KnowledgePLANの特徴だ。

画像 特性の選択画面
会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社SHIFT

5分で診断、正しいソフトウェアテストベンダーを選ぶための比較チェックシート

ソフトウェアテストをアウトソースするに当たってはベンダー選びが重要だが、自社に合うテストベンダーをどう選べばよいか分からない、という声もよく聞かれる。そこで、失敗しないベンダー選定の基準を、チェックシート形式で解説する。

製品資料 株式会社SHIFT

品質課題が残る我流テスト、第三者によるテストを導入したらどう変わる?

ソフトウェア開発ではテストを、開発エンジニアが自ら担当するシーンが散見される。ただ、専門知見を持たない人材が我流でテストしていては、開発品質の担保が難しくなる。この問題の解決には第三者によるテストが重要だ。

製品資料 株式会社SHIFT

課題山積のソフトウェア開発、テストを外注すべき5つの理由とは

DXの推進が叫ばれる中、その中核を担うソフトウェア開発の現場では、IT人材不足をはじめとする5つの課題が顕在化している。それらを解消し、ソフトウェアの品質を高める方法として注目されるのが、ソフトウェアテストの外注だ。

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

クラウド活用の価値最大化のために、クラウドネイティブをどう取り入れる?

クラウドサービスは今や広く普及し、クリティカルなシステム領域のクラウド移行も進んでいる。このクラウドの利点を徹底的に活用する仕組みが「クラウドネイティブ」だ。この仕組みを、企業はどう取り入れるべきなのか。

製品レビュー 発注ナビ株式会社

システム開発の第一歩、はじめての開発プロジェクトを成功に導く方法

システム開発プロジェクトを成功に導くには、ITに関する幅広い知識が必要になってくる。そこで本資料では、システム開発の流れや手法など、はじめてプロジェクトを任された担当者が知っておくべき基礎知識を解説する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...