老舗ERPがSaaSに、「EXPLANNER for SaaS」の新しさとはクラウドERP製品カタログ【第4回】NEC

中堅企業向けERPとして広く使われている「EXPLANNER」のSaaS版は単にアプリケーションをネットワーク経由で利用させるだけの製品ではなかった。企業のニーズを満たすその機能とは。

2011年09月27日 09時00分 公開
[吉村哲樹]

長い実績を持つERPのSaaS版

 「EXPLANNER for SaaS」は、NEC(日本電気)が2010年にサービス提供を始めたSaaS(Software as a Service)型のERPソリューションである。もともと同社は、既に35年の歴史と2万本以上の出荷実績を持つ「EXPLANNER」というERPパッケージ製品を持っており、EXPLANNER for SaaSはその機能をそのままSaaSで提供するものである。

 現在、各ベンダーから提供されているクラウドERPの多くは、低価格と導入の容易さをうたう半面、機能やカスタマイズ性に関してはオンプレミス型のパッケージ製品と比べると大幅に制限されていることが多い。しかし、EXPLANNER for SaaSはこうしたソリューションとは若干性格を異にする。

 もちろん、SaaSならではの低コスト、簡単運用といったメリットはしっかり備えている。サーバなどのハードウェアが不要なため、オンプレミス型のパッケージ製品と比べると初期導入コストを大幅に抑えることができる。また、法改正対応や修正パッチ適用などのマイナーバージョンアップを含めた保守・運用管理作業の全てがNECのデータセンターで行われるため、ユーザーに掛かる運用管理コストの負担は大幅に軽減される。またEXPLANNER for SaaSではサービス利用の停止も好きなタイミングで行うことができる(利用停止日の60日前までに通告する必要あり)ため、利用者数の増減にも柔軟に対応できるようになっている。

独自要件を持つ業務もSaaS上に展開可能

 しかしEXPLANNER for SaaSの最大の特徴は、上述のような運用効率化の効果以外の、「プラスアルファ」の部分にこそある。例えば、SaaSでありながらも、さまざまな業務領域や利用形態に対応できる点もその1つだ。EXPLANNER for SaaSでは会計、債権・債務、人事、給与といった、業種・業態による業務内容の差異が少ない共通業務だけでなく、生産や販売など他社との差異化戦略が必要な業務、いわば「差異化業務」に関してもSaaSのサービスを提供している。

■EXPLANNER for SaaSが提供するサービス

業務カテゴリ サービス
共通業務 ・会計
・人事
・給与
・債権
・債務
差異化業務 ・生産
・販売
オペレーション領域 ・ワークフロー

 前者の共通業務については既に他社からも幾つかSaaSのソリューションが提供されているが、後者の差異化業務をSaaSで提供するソリューションはまだ数少ない。生産や販売などの業務は、各社固有の業務モデルがそのまま他社との差別化要因になる領域である。そのため、一般的には既存の業務モデルにマッチしたシステムをスクラッチ開発するか、もしくはERPパッケージを大幅にカスタマイズして対応することがほとんどであり、SaaSやクラウドでのシステム提供は困難とされてきた。

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