【事例】JBグループが会計、人事システムを刷新 製品選択の詳細とは?SuperStream-NXを採用

持ち株会社と15の事業会社などで構成するJBグループが会計、人事給与システムをパッケージで刷新した。複数パッケージを対象に行った製品選択の詳細とは?

2013年02月21日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 ITサービスを展開するJBCCホールディングスは、グループ全体の会計、人事給与システム基盤としてスーパーストリームの「SuperStream-NX」を採用した。JBCCホールディングスを持ち株会社とするJBグループは主に15の事業会社で構成され、グループの社員数は2800人弱。どのような考えでパッケージを選択して導入を決めたのか。担当者に聞いた。

2つの事業部が別々に製品を選択

C&Cの高橋保時氏 C&Cの高橋保時氏

 JBCCホールディングスが導入したのは、SuperStream-NXの「統合会計」「人事給与」「グループ経営管理」の各モジュールだ。だが、これらは一括で製品選択して導入を決めたのではなく、経理財務部門と人事部門が別々に製品選択を進めていて結果的にSuperStream-NXを選ぶことになったという。

 JBグループにはグループ内の経理、人事業務をとりまとめる企業としてC&Cビジネスサービス(以下、C&C)がある。同社はグループのシェアードサービスセンターという位置付けだ。だが経理財務に限ると、C&Cがサービスを提供していたのは、グループ内の6割の企業に過ぎなかった。それ以外の企業は独自に経理財務業務を行ってきた。

 C&Cは、グループ全体のシナジー効果や競争力の向上を果たすため、業務改革の必要性を感じていた。そのための施策の1つが経理財務業務の標準化だった。標準化を徹底するために会計のパッケージソフトを導入し、全グループをカバーすることを計画した。C&Cの執行役員 経理財務担当 高橋保時氏は「月報などを標準化してグループで同じ帳票を使えるようになる。業務の効率化につながる」と述べる。

タレントマネジメント実現も視野

C&Cの小野 勝氏 C&Cの小野 勝氏

 一方、JBグループの人事業務は約20年前に開発した手組みのアプリケーションを使い続けていた。最新の人事制度などに対応するには、その都度アプリケーションの改修が必要で手間が掛かっていた。そのため表計算ソフトで必要なデータをとりまとめて、そのデータを手組みアプリケーションに流し込むような作業が行われていた。「手作業がどんどん増えてきていて、システム監査上の課題だった」(C&Cの執行役員 人事総務担当 小野 勝氏)

 また、JBグループは現在、M&Aなどでグループが拡大している。そのため旧来の人事制度と、新しくグループに加わった企業の人事制度が混在している。しかし、現在の手組みアプリケーションでは複数の人事制度への対応が困難で、やはり表計算ソフトを使わざるを得ない状況だった。加えて経営陣からは、タレントマネジメントなど人材の一元管理やスキル可視化などの実現が求められていた。「今後の成長に向けて、一番できていないのが人材の見える化だった」と小野氏は振り返る。

4つの開発規模で機能を評価

 パッケージの製品選択は人事業務が先行して行った。小野氏らは国産と外資の主要な人事給与パッケージを7製品ほどピックアップし、デモンストレーションなどを通じて選択した。JBグループには既に稼働している目標管理と勤怠管理のシステムがある。採用するパッケージの第1の条件は、こうした既存システムと連係できることだった。その条件に合うのがSuperStream-NXだった。

 加えて選択で重視したのがコストパフォーマンスだった。先進的な機能を持つ人事給与、タレントマネジメントのパッケージはたくさんあるが、「使いこなせない機能があるよりも、今やりたいことがきちんとできて、コストパフォーマンスを見込めるのが重要」(小野氏)との考えだ。SuperStream-NXは、JBグループが考える必要十分な機能を持っていた。

 経理財務業務における製品選択も同様だ。「判断基準は投資対効果。さまざまなパッケージを評価すると、良い機能もあるが、それを実際に使うのは何年後になるのか? というケースもある。現状必要な機能だけを考えて、コストと効果のバランスを取る必要があった。そのバランスが良かったのがSuperStream-NXだった」(高橋氏)

 JBグループには必要な機能をパッケージで対応し、それ以外の機能はテンプレートなどを自社で開発するという選択肢もあった。「自社の要望にパーフェクトにマッチするパッケージはない。足りない部分はベンダーに開発をお願いすることもできるし、自社で開発することもできる」(高橋氏)

 パッケージの製品選択では必要な機能をリストアップし、ベンダーに「マルバツ表」を埋めてもらう方法がある。しかし、ベンダーが付ける「マル」の意味はさまざまだ。標準で対応できることを指したり、小規模の開発で対応可能なことを指すなど、記入者によって意味合いは大きく異なる。そのため高橋氏らは4つのパッケージを比較する上で、以下の4つの開発規模を選択肢に設定し、機能ごとにベンダーに記入してもらった。

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