「どこでもギガビット無線LAN接続」、最初のユーザーは誰?オフィス外に拡張する802.11ac

米Extreme Networksは同社の無線LAN製品「IdentiFi」にIEEE 802.11ac対応の屋外用Wi-Fiアクセスポイントを追加。オフィスの外でもギガビットレベルのWi-Fi速度が実現できるようになった。

2014年07月17日 15時00分 公開
[Gina Narcisi,TechTarget]

 米Extreme Networks(以下、Extreme)が最近公開したIEEE 802.11n対応の屋外用Wi-Fiアクセスポイントは、同社が大規模な公共の会場、カンファレンスセンター、大学のキャンパスといった環境のニーズに合わせて拡張できることを証明した。米国全土のNFLスタジアムはその一例だ。そして、最新の3865eシリーズではIEEE 802.11acに対応。大きなキャンパスや会場で、建物の内外を問わずモバイルデバイスやWi-Fi対応のウェアラブルデバイスに快適なWi-Fi接続環境が提供される。

キャンパスをつなぐ屋外用アクセスポイント

 Extremeでモバイル製品とアプリケーションの責任者を務めるマイク・リーボビッツ氏によると、この新しい3865eシリーズでは、同社の屋内用Wi-Fiアクセスポイントでサポートされているのと同じ高度な機能が提供されているという。これには、帯域幅の管理や通信時間の公平性確保などが含まれる。屋外用アクセスポイントは、厳しい環境条件に対応できるように設計され、外部アンテナと避雷保護が用意されているが、ソフトウェアは屋内用と同じものが使用されている。「当社が屋内用アクセスポイントで提供している802.11ac対応の機能は屋外用でも提供可能だ。例えば、分析、ゲストユーザーに関するポリシー、位置情報サービスなどの機能を提供することができる。また、それらの機能を組み合わせることもできる。例えば、屋外で利用可能なアクセスの種類は幾つかあり、使用者と使用するデバイスによって決まる。新しいアクセスポイントではインドアアクセスポイントと同じWi-Fiの機能を屋外でも使用できるように拡張している」(リーボビッツ氏)

 下位互換性のある新しい3865eシリーズには一般的な屋内用アクセスポイントにない機能があるという。例えば、静的/動的メッシュ、別棟のネットワークをポイントツーポイント接続する機能などがある。「802.11acは、2棟の建物が近距離にある場合でも、ポイントツーポイントでデータを転送し、ワイヤレストラフィックを促進する強化された処理能力と速度を提供する」とリーボビッツ氏はいう。

 米オクラホマ州のタルサにあるオーラル・ロバーツ大学は、5年にわたってExtreme(旧Enterasys)製のルータとスイッチを使用している。802.11n対応の屋内Wi-Fiインフラストラクチャには米Meru Networksの製品を使用している。同校の3000人の学生が屋外でネットワークに接続する際には、携帯電話通信業者のサービスを利用するのが常だった。

 同校でCIOを務めるマイケル・マシューズ氏は「Wi-Fiはこれまで、学生にとってあると便利なものという位置付けだった。だが、現在はあらゆる場所にWi-Fiがあることを望む声が非常に多い。学生はキャンパスのどこにいてもデバイスを使用できることを望んでいる。そのため、当校では屋内外に関わらず同じWi-Fi接続環境を提供したいと考えている」と語る。

 より一貫したユーザーエクスペリエンスを教職員に提供するため、同校はWi-Fiベンダーを変更し、ワイヤレス接続が利用できる環境を屋外に広げた。同校はExtremeの802.11ac対応機器を使用して小規模なβテストを開始済みで、2014年秋に本格導入を予定している。まず、Wi-Fiの需要が最も高い寮棟で学生向けに802.11ac対応機器を導入する予定だ。その後、学生と教職員向けに屋外での導入を計画している。

 「概念実証の段階で、新しいExtremeの802.11ac対応機器では、既存のワイヤレスインフラストラクチャから大幅な改善が見られた。接続が切断されることはなく、ダウンロード速度は高速になり、ギガビットWi-Fiインフラストラクチャのバックエンド管理が容易になった」とマシューズ氏は語る。

屋内と屋外で一貫した無線LAN管理

 企業はモバイルエクスペリエンスに対するユーザーの期待値が上がっていることを学んでいる。これは屋内から屋外に移動したときも変わらない。「IdentiFiの屋外用アクセスポイントは、さらに条件が厳しい密集度の高い環境にも耐えられる。当社のテクノロジーを使用すればIT管理者はユーザーの期待値を上回ることができる」とExtremeのリーボビッツ氏はいう。

 屋内と屋外に一貫性を求めるのはユーザーだけではない。IT管理者も屋外のWi-Fi環境の管理に関しては一貫性のあるエクスペリエンスを望んでいる。こう指摘するのは米マサチューセッツ州のミルフォードにあるEnterprise Strategy Group(ESG)でシニアアナリストを務めるボブ・ラリベルテ氏だ。

 Extremeのアクセスポイントは屋内用/屋内用とも同じインタフェースで管理可能だ。ラリベルテ氏は次のように述べている。「大学のキャンパスやスタジアムなど、屋外と屋内の環境が混在している施設もある。着席時は屋外にいるが、売店やスタジアムの下段を歩いているときは屋内にいることになる。そのため、このような施設では、ユーザーが移動中にもシームレスで継続したエクスペリエンスを提供することが求められるようになるだろう」

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