ERPシステムの実装は、リスク、スケーラビリティ、コスト、期間など、さまざまな要素に左右される。独SAPと米Oracleを比較した場合、どちらのベンダーが優勢なのだろうか。
新しいERPソフトウェアの実装を検討している最高情報責任者(CIO)の多くは、業界のツートップである独SAPと米Oracleの製品を確実に検討することになるだろう。どちらのベンダーも市場占有率が高く、製品ラインに定評がある。この2つのベンダーの長所、短所、リスク、製品ロードマップに大きな違いはないと思われる。
米Panorama Consulting Solutionsが公開したリポート「2014 Clash of the Titans(2014年度タイタンの戦い)」では、全世界で行われた何百ものERPシステム実装の定量的な結果がまとめられている。このリポートによると、SAP製品とOracle製品の実装でユーザーが直面している状況は大きく異なることが判明した。例えば、平均的なOracleユーザーの方が実装コストは少ない。一方、平均的なSAPユーザーの方が予定に近い期間で実装を完了できていることが分かった。だが、これはリポートの結果を分析して判明した多くの状況の一例にすぎない。
検討すべきトレードオフと不確定要素は無数にある。この事実を考慮し、本稿では各社の製品の違いを軽減するため幾つかの分野に分けて比較する。その分野は「実装のリスク」「実装に掛かるコストと期間」「スケーラビリティ」「ソフトウェアの機能とカスタマイズ」「クラウドの採用」の5つだ。各分野の比較では、各社の製品と今後の方向性における最大の違いに焦点を当てた。
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