2017年ストレージベンダーの現状と展望【後編】
消える老舗に台頭する新興、そして気になるWestern Digital──激変必至ストレージ業界(1/3 ページ)
Dell EMCの登場をきっかけに2017年に大きな再編が起きそうなストレージ業界。大手老舗さえ安心できない状況で、消滅の危機にあるベンダーの“ハザードリスト”を紹介する。
この記事では、ハイパーコンバージドにソフトウェア定義型ソリッドステートストレージ(SDS用SSD)、さらに、クラウドのストレージサービスと、急激に変化しつつあるストレージ業界の2017年の展望を予測する。
前編「変化を対応した企業にチャンス、Dell EMC、Nutanixなど主要ベンダーはどう動く?」では、2016年に起きた大型買収によって生まれたDell EMCが業界に及ぼす影響と、Dell EMCの未来は明るいのか否かについて考察した他、ハイバーコンバージドインフラのNurtanixの優位性は2017年も継続するのかを考えながら、こちらでもDell EMCの影響力とNutanixが失速する可能性とその原因を紹介した。
また、オールフラッシュストレージの分野では、急速に成長している新興ベンダーのPure Storageが2017年もその勢いを持続できるのかを考え、同じく新興ベンダーのVeritasに対してはバックアップベンダーの勢力争いも交えてその行く末を予測している。
後編でも、2017年にその動向がストレージ業界に大きな影響を与えるだろう注目すべきベンダーを取り上げ、その成長見通しと注意すべき懸念材料について紹介する。
Broadcom
Broadcomは、ファイバーチャネル(FC)ネットワークの将来を左右しそうだ。Broadcomが計画している59億ドルでのBrocade Communications Systems(以下、Brocade)買収が実現すれば、BroadcomはFCスイッチング市場のリーダーとなり、FCスイッチとFCホストバスアダプター(HBA)を販売する唯一のベンダーになる。同社のストレージ事業は、半導体メーカーのAvago Technologies(以下、Avago)が2014年に66億ドルでLSIを買収したことに端を発する。Avagoは2015年にHBAベンダーのEmulexを6億600万ドルで傘下に収め、2016年に370億ドルを費やしたBroadcomの買収は2016年に手続きが完了した。Broadcom買収後、Avagoはより知名度が高かったBroadcomに社名を変更している。
BroadcomによるBrocadeの買収手続きが進んでいる今、FC SAN(Fibre Channel Storage Area Network)は重要な時期にある。2017年は16Gbps FCから32Gbps FCへの移行期だからだ。Brocade買収は2017年半ばに完了する見通しだが、完了が遅れると業界全体で32Gbps FCへの移行も遅れる可能性がある。また、FCスイッチ市場でBrocadeの唯一のライバルであるCisco Systemsにとって、市場シェアを奪うチャンスになるかもしれない。
注目ポイント FC業界が32Gbpsへの移行期にあるだけに、BroadcomはBrocade買収後の企業統合をスムーズに進めなければならない。BrocadeはFC、特にその帯域幅のアップグレードや第6世代(32Gbps)への移行を進めるけん引役だ。だが、他の技術も数多く手掛けているBroadcomは、FCを同じように最優先で注力するだろうか。
苦境にあえぐエンタープライズストレージベンダー
エンタープライズストレージベンダーが消滅することはほとんどない。非常に苦戦しているベンダーは、消え去るのではく技術を評価した企業に買収されるケースが多い。しかし、2017年において3社のベンダーが経営上の危機にある。
Violin Memory(以下、Violin)とFalconStorは、既に会社を“売り”に出しているが、買い手が見つかっていない。Violinは破産手続きに入っており、最後の頼みの綱となる製品の売却に躍起になっている。
Imationは、「Nexsan」ブランドのストレージポートフォリオ以外の大半を売却し、Nexsan製品を柱として事業を再構築した。2016年12月には非公開株投資会社との取引により、Nexsanも分社化すると発表した(ただし、引き続きNexsan株式の50%を保有する)。3社とも、「成功している製品を持っている」と主張しているが、財務の数字はその逆を示している。
Violinは、オールフラッシュ市場の創出に貢献した。初期の成功を追い風に2013年に上場企業となったものの、販売は低迷していった。オールフラッシュ市場全体は急成長しているが、直近におけるViolinの決算報告によると、2017年度上半期(2016年2~7月期)の売上高は1720万ドルにすぎない。2016年12月に破産申請を行ったとき、Violinは362万ドルの現金を保有していたが、2017年1月20日までにこの数字が160万ドル程度まで減少するとの見通しを示していた。2017年度第1四半期(2016年2~4月期)、第2四半期(2016年5~7月期)とも純損失が2000万ドルを超えており、2016年度(2015年2月~2016年1月期)は通期で9900万ドルの純損失を計上している。
Violinは2016年9月、起死回生を狙って新型アレイ「Flash Storage Platform(FSP) 7650」「同7450」をリリースした。「Violinが成長を取り戻して経営を再建するには、まだ多くの課題がある」とViolinのケビン・デヌッチオCEOは、2016年9月の決算発表会見で語った。
FalconStorは、データ管理ソフトウェア「FreeStor」に望みを託している。FreeStorは登場から2年間もたたない段階で、300社以上のユーザー企業を獲得したというが、同社は四半期ごとに数百万ドルの赤字を出している。2016年度第1~3四半期の純損失は980万ドルで、同第3四半期末の手元資金(現金および市場性のある有価証券)は610万ドルだった。Violinと同様に、FalconStorもこれまで以上に多くのユーザー企業を早急に開拓する必要がある。
「新規顧客の獲得や、既存顧客の移行促進、サービスプロバイダーなど新しい販売ルートの開発を、継続する必要があることを理解している」とFalconStorのゲーリー・クインCEOは、2016年11月も決算発表で語った。
Imationは、10年前には年商数十億ドルのIT企業だった。今ではNexsanストレージ専業となり、その分社化発表前の2016年度第1~3四半期の売上高は3280万ドルにすぎない。この3四半期の純損失は1億380万ドルで、第3四半期末の手元資金(現金および短期投資)は4960万ドルとなった。Nexsanは2016年に新しいマルチプロトコルストレージアレイ「Unity」をリリースしたが、同社の業績の落ち込みは、1つのプラットフォームだけでは挽回できそうもない。
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