ワイナリーのPalmaz Vineyardsは、機械学習によって発酵タンク内の状態を監視するシステムを開発した。パブリッククラウドにデータを保存する仕組みにしたが、問題が発生した。それはどのようなものだったのか。
米国のワイナリー(ワイン醸造所)Palmaz VineyardsのCEO(最高経営責任者)を務めるクリスティアン・ガストン・パルマス氏は、トリニティ大学(Trinity University)で経営学士号を取得し、コンピュータサイエンスにも精通している。パルマス氏は「もっとスマートにワインを醸造したい」と考えていた。
パルマス氏は自身の学識と経験を生かし、ワインの発酵プロセスを監視するシステム「FILCS」(Fermentation Intelligence Logic Control System)を開発した(写真)。目指したのはワイン醸造の単調な作業を代替し、醸造スタッフの負荷を軽くするシステムだ。Palmaz VineyardsはFILCS導入の際、データをより適切に扱うために、ストレージとデータ保護の仕組みを見直した。
FILCSは、Palmaz Vineyardsが保有する発酵タンク内の状態を監視し、調整の必要があれば醸造担当者に通知する。一般的にワイン醸造業者は手作業で何度もサンプルを採取し、発酵タンク内に十分な酸素と栄養があることや、温度と酸化レベルが適切に保たれていることなどを確認しなければならない。
オープンソースの機械学習ライブラリをベースにするFILCSは、監視する発酵タンク内の状況と過去のデータを関連付けることで、監視中の状態が悪い結果につながるものかどうかを見極める。何らかの調整が必要であれば担当者に通知する。現時点のFILCSは自動でタンク内の状態を調整できるほどの高度な機能は持ち合わせていないため、担当者が調整しなければならない。完全にアルゴリズムで発酵プロセスを制御するシステムには「これまで出会ったことがない」とパルマス氏は語る。
パルマス氏は「TensorFlow」などのオープンソースの機械学習ライブラリを使用して、データセットの構築、関連付け、トレーニングを実施した。2010年から4年の歳月をかけ、FILCSの調整を繰り返したという。
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