ワイン醸造所がクラウドに移した発酵監視システムをオンプレミスに戻した理由ワイン醸造業者が出した答え【前編】

ワイナリーのPalmaz Vineyardsは、機械学習によって発酵タンク内の状態を監視するシステムを開発した。パブリッククラウドにデータを保存する仕組みにしたが、問題が発生した。それはどのようなものだったのか。

2020年01月09日 05時00分 公開
[Johnny YuTechTarget]

 米国のワイナリー(ワイン醸造所)Palmaz VineyardsのCEO(最高経営責任者)を務めるクリスティアン・ガストン・パルマス氏は、トリニティ大学(Trinity University)で経営学士号を取得し、コンピュータサイエンスにも精通している。パルマス氏は「もっとスマートにワインを醸造したい」と考えていた。

 パルマス氏は自身の学識と経験を生かし、ワインの発酵プロセスを監視するシステム「FILCS」(Fermentation Intelligence Logic Control System)を開発した(写真)。目指したのはワイン醸造の単調な作業を代替し、醸造スタッフの負荷を軽くするシステムだ。Palmaz VineyardsはFILCS導入の際、データをより適切に扱うために、ストレージとデータ保護の仕組みを見直した。

画像 写真 Palmaz Vineyardsの発酵タンク内の状態を監視するFILCS

 FILCSは、Palmaz Vineyardsが保有する発酵タンク内の状態を監視し、調整の必要があれば醸造担当者に通知する。一般的にワイン醸造業者は手作業で何度もサンプルを採取し、発酵タンク内に十分な酸素と栄養があることや、温度と酸化レベルが適切に保たれていることなどを確認しなければならない。

 オープンソースの機械学習ライブラリをベースにするFILCSは、監視する発酵タンク内の状況と過去のデータを関連付けることで、監視中の状態が悪い結果につながるものかどうかを見極める。何らかの調整が必要であれば担当者に通知する。現時点のFILCSは自動でタンク内の状態を調整できるほどの高度な機能は持ち合わせていないため、担当者が調整しなければならない。完全にアルゴリズムで発酵プロセスを制御するシステムには「これまで出会ったことがない」とパルマス氏は語る。

 パルマス氏は「TensorFlow」などのオープンソースの機械学習ライブラリを使用して、データセットの構築、関連付け、トレーニングを実施した。2010年から4年の歳月をかけ、FILCSの調整を繰り返したという。

オンプレミスの限界からクラウドへインフラを移行も、新たな課題に直面

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ワイン醸造所がクラウドに移した発酵監視システムをオンプレミスに戻した理由:ワイン醸造業者が出した答え【前編】 - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。