「クラウドファイル共有」を利用する際に考慮したいのは、オンプレミスのインフラからのアクセスだ。この点に配慮した「Azure Files」「Panzura」を紹介する。
クラウドサービス形式のファイル共有ツール(以下、クラウドファイル共有)の主要サービス7種を紹介してきた本連載。第1回「AWSとオンプレミス間でファイルを同期できる『AWS Storage Gateway』とは」、第2回「『Box』と『Dropbox』を比較 2大ファイル共有サービスは何が違う?」、第3回「クラウドファイル共有『Egnyte』『FileCloud』とは オンプレミスからの接続も」に続く第4回となる本稿は、残る2種のクラウドファイル共有を紹介する。
クラウドサービス群「Microsoft Azure」の「Azure Files」は、ファイルアクセスのプロトコル「NFS」(Network File System)と「SMB」(Server Message Block)で利用できるクラウドファイル共有だ。「Windows」「Linux」「macOS」の搭載デバイスで利用でき、エンドユーザーはさまざまなOSや場所でファイルにアクセスできる。
Azure Filesでは導入形態を選択可能だ。「Azure File Sync」を利用すれば、Azure Filesとオンプレミスのファイルサーバ間でファイルの同期が可能になる。この場合、オンプレミスのファイルサーバがAzure Filesのキャッシュサーバになり、Azure内にあるファイルへのアクセスの高速化が実現する。
標準的なAzure Filesのプランである「Standard」ではなく、上位プランの「Premium」を選択すれば、Azureでのデータの保存先がSSD(ソリッドステートドライブ)ベースのストレージシステムになるため、データ読み書きのパフォーマンスを上げることができる。Standardは、基本的なファイルストレージとしての用途に適している。Azure Filesは、コマンドラインツール「Azure PowerShell」と「Azure CLI」を使用して管理できる。
Azure Filesは下記の機能も備える。
「Panzura」は、クラウドストレージ(クラウドサービス形式のストレージシステム)を保存先として利用できるクラウドファイル共有だ。クラウドストレージと、ユーザー企業拠点に設置するコントローラーで構成される。コントローラーがファイルのメタデータを管理し、保存先のクラウドストレージにあるデータを一元的に管理する。コントローラー側がファイルをキャッシュすることで、LAN並みのファイルへのアクセス速度が実現する。複数拠点にコントローラーを配置する場合でも、コントローラー間の一貫性が確保されるため、どこの拠点からでも同じデータにアクセスできる。
同一のファイルシステム内で複数種類のストレージシステムを利用できることもPanzuraの特徴だ。HDDやSSDベースのストレージシステムに加えて、クラウドストレージなどをデータの保存先に指定することが可能。ファイルアクセスのプロトコルとして、NFSやSMB、「CIFS」(Common Internet File System)などを利用できる。ディレクトリシステム「Active Directory」と連携させて利用することも可能だ。
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