「Azure Files」「Panzura」で何ができる? 高速ファイル共有が可能な理由は「クラウドファイル共有」7選【第4回】

「クラウドファイル共有」を利用する際に考慮したいのは、オンプレミスのインフラからのアクセスだ。この点に配慮した「Azure Files」「Panzura」を紹介する。

2021年03月24日 05時00分 公開
[Dan SullivanTechTarget]

 クラウドサービス形式のファイル共有ツール(以下、クラウドファイル共有)の主要サービス7種を紹介してきた本連載。第1回「AWSとオンプレミス間でファイルを同期できる『AWS Storage Gateway』とは」、第2回「『Box』と『Dropbox』を比較 2大ファイル共有サービスは何が違う?」、第3回「クラウドファイル共有『Egnyte』『FileCloud』とは オンプレミスからの接続も」に続く第4回となる本稿は、残る2種のクラウドファイル共有を紹介する。

Azure Files

 クラウドサービス群「Microsoft Azure」の「Azure Files」は、ファイルアクセスのプロトコル「NFS」(Network File System)と「SMB」(Server Message Block)で利用できるクラウドファイル共有だ。「Windows」「Linux」「macOS」の搭載デバイスで利用でき、エンドユーザーはさまざまなOSや場所でファイルにアクセスできる。

 Azure Filesでは導入形態を選択可能だ。「Azure File Sync」を利用すれば、Azure Filesとオンプレミスのファイルサーバ間でファイルの同期が可能になる。この場合、オンプレミスのファイルサーバがAzure Filesのキャッシュサーバになり、Azure内にあるファイルへのアクセスの高速化が実現する。

 標準的なAzure Filesのプランである「Standard」ではなく、上位プランの「Premium」を選択すれば、Azureでのデータの保存先がSSD(ソリッドステートドライブ)ベースのストレージシステムになるため、データ読み書きのパフォーマンスを上げることができる。Standardは、基本的なファイルストレージとしての用途に適している。Azure Filesは、コマンドラインツール「Azure PowerShell」と「Azure CLI」を使用して管理できる。

 Azure Filesは下記の機能も備える。

  • カスタマーマネージドキー(Azureのデータを保護する暗号鍵)を使用した保存データの暗号化
  • 誤ったファイル削除や悪意のあるファイル削除を防ぐための論理的な削除(Soft Delete)
  • 定期バックアップ
  • 「HIPAA」(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)や「FedRAMP」(米国政府によるクラウドセキュリティ基準)、「PCI DSS」(クレジットカード情報保護基準)などの各種ガイドラインへの準拠

Panzura

 「Panzura」は、クラウドストレージ(クラウドサービス形式のストレージシステム)を保存先として利用できるクラウドファイル共有だ。クラウドストレージと、ユーザー企業拠点に設置するコントローラーで構成される。コントローラーがファイルのメタデータを管理し、保存先のクラウドストレージにあるデータを一元的に管理する。コントローラー側がファイルをキャッシュすることで、LAN並みのファイルへのアクセス速度が実現する。複数拠点にコントローラーを配置する場合でも、コントローラー間の一貫性が確保されるため、どこの拠点からでも同じデータにアクセスできる。

 同一のファイルシステム内で複数種類のストレージシステムを利用できることもPanzuraの特徴だ。HDDやSSDベースのストレージシステムに加えて、クラウドストレージなどをデータの保存先に指定することが可能。ファイルアクセスのプロトコルとして、NFSやSMB、「CIFS」(Common Internet File System)などを利用できる。ディレクトリシステム「Active Directory」と連携させて利用することも可能だ。

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