「Box」と「Dropbox」を比較 2大ファイル共有サービスは何が違う?「クラウドファイル共有」7選【第2回】

「Box」と「Dropbox」は、いずれも広く利用されているクラウドファイル共有だ。多彩な機能を提供する両サービスだが、どちらかを選択する際にはどのような点を考慮すればいいのか。違いを具体的に見てみよう。

2021年02月24日 05時00分 公開
[Dan SullivanTechTarget]

 クラウドサービス形式のファイル共有ツール(以下、クラウドファイル共有)のうち、主要なサービス7種を紹介する本連載。前編「AWSとオンプレミス間でファイルを同期できる『AWS Storage Gateway』とは」に続く本稿は、残る6サービスのうち2種を紹介する。

Box

会員登録(無料)が必要です

 「Box」はコラボレーションの促進やワークフローの簡略化、セキュリティ強化に重点を置くクラウドファイル共有だ。Boxは、企業向けの基本的な機能を提供する「Business」、より高度な機能を提供する「Enterprise」など複数のプランがある。

 BoxのBusinessは、下記のような基本機能を提供する。

  • 容量無制限のストレージ
  • オフィススイートの「Office 365」「Google Workspace」との連携機能
  • 管理コンソール
  • データ損失防止(DLP)
  • 自社ブランドに合わせたアカウントのカスタマイズ

 「Business Plus」はBusinessの機能に加え、エンドユーザーのアクセス制御やファイルの共同編集、共有などにおいて、より高度な機能を提供する。

 Enterpriseは、BusinessとBusiness Plusの機能に加え、下記のような機能を利用できる。

  • 電子署名・契約サービス「DocuSign」やクラウド型のCRM(顧客管理)ツール「Salesforce」など、外部SaaS(Software as a Service)との連携機能
  • 「HIPAA」(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)や「FedRAMP」(米国政府によるクラウドセキュリティ基準)など、各種ガイドラインへの準拠
  • 二要素認証
  • ドキュメントの電子透かし(ウオーターマーキング)
  • パスワードポリシーの設定
  • Boxにアクセスするデバイスの健全性をチェックする「Device Trust」

Dropbox

 「Dropbox」もクラウドファイル共有としてさまざまな機能を提供する。下記のような特徴がある。

  • 「Google Docs」(Googleドキュメント)やタスク管理ツール「Trello」など、さまざまな種類のドキュメントツールと連携可能
  • ビジネスチャットツール「Slack」を使ったファイル共有やエンドユーザー間のメッセージのやりとりが可能
  • DropboxのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使って他のアプリケーションからDropboxにファイルをアップロードしたり、ファイルの共有リンクを取得したりすることが可能

 企業向けのクラウドファイル共有としてDropboxが提供するのが「Dropbox Business」だ。Dropbox Businessは、データを分散させて保存するアーキテクチャによって、スケーラビリティ(拡張性)と信頼性を実現している。

 Dropboxは、ファイルを「ブロック」(ある一定の長さのデータ)に分割してから各ブロックを暗号化し、分散させて保管する仕組みとして「ブロックサーバ」という機能を採用している。ブロックサーバは、保管するファイルのうち変更があったブロックのみを転送することで、ファイル同期を効率化している。ブロックサーバによって分割されたデータは、Dropboxの「ブロックストレージサーバ」に保管される。ブロックストレージサーバからデータを取得する際は、ハッシュ値(元のデータから一定の計算によって求められる値)を参照する。

 こうした仕組みを採用したストレージシステムを、Dropboxは「Magic Pocket」と呼んでいる。Magic Pocketは、データの保存先として自社データセンターとAmazon Web Servicesのデータセンターを利用しており、地理的に離れた場所にブロックのコピーを保存することでデータの冗長性を確保する仕組みになっている。

 効率的かつ信頼性の高いファイル管理に欠かせないのが、メタデータ(データの属性を表すデータ)管理だ。Dropboxは1時間ごとの増分バックアップと3日に1回の完全バックアップを実施している。メタデータは、米国にあるDropbox自身が管理するサーバに保存される。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...