クラウドサービスの導入が急速に進むとともに、コンピュータサイエンスの学位と、ベンダーや資格団体が認定する認定資格の評価が変化しつつある。その理由とは。
IT分野には「キャリアを成功させるには、コンピュータサイエンスの学位が必要か、認定資格があれば十分か」という論争がある。コンピュータサイエンスの学位はこれまで、意欲的なシステム開発者にとって重要な資格だった。今は必ずしもそうではない。IT人材市場で雇用主の間では、クラウドベンダーや資格団体が提供する認定資格の評価が上がっているのだ。クラウドサービスの普及が、こうした変化に拍車を掛けている。
クラウドサービスは、ソフトウェアとハードウェアを抽象化し、機能ごとに個別のサービスとして利用できるようにすることで、システムの全ての側面を理解する必要性を減らしている。そのため従来のコンピュータサイエンスのカリキュラムは、ユーザー企業のITの利用状況と合わなくなりつつある。
「コンピュータサイエンスの学位を取得すれば、技術全体を広く理解できるようになる。一方で認定資格を取得すれば、選んだ分野で専門性を高められる」と、ITサポートを手掛けるGuardian Computerに勤務するチャールズ・アンドルーズ氏は語る。アンドルーズ氏はInternational Information Systems Security Certification Consortiumが認定する情報セキュリティ資格CISSP(Certified Information Systems Security Professional)を持つ。
コンピュータサイエンスの学位か一連の認定資格を持っていれば、職を見つけるのに十分だ。両者の組み合わせにはもっと価値がある。学位は自身のコンピュータサイエンスに関する幅広い知識を持つことの証明になる。さらに認定資格の取得を目指すことでIT担当者は学習を続け、前に進むことができる。
IT担当者のキャリア形成において、コンピュータサイエンスの学位と認定資格にはいずれも一長一短がある。次回からはコンピュータサイエンスの学位取得と認定資格の取得について、それぞれのメリットとデメリットを確認する。
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