新型コロナウイルス感染症の影響で、クラウドエンジニアの需要が高まりつつある。採用や給与にプラスの影響を与える可能性が高いクラウド関連資格を説明する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、クラウド関連技術を有したITエンジニア(以下、クラウドエンジニア)に対する企業の需要が高まりつつある。一方で在宅勤務などのテレワーク体制へと全社的に移行する企業は少なくなく、ITエンジニアの待遇を巡る情勢は今後複雑化する可能性がある。
ITエンジニアの給与は居住地や働く業界など複数の要因が左右する。中でもクラウドエンジニアの給与を決定する要因は、求職者が握っていることが少なくないことを、最近の業界給与報告書は示唆している。例えばクラウドの資格を取得したり、オハイオ州コロンバスやデンバーといった新興のIT産業集積地に転居したりすることで、求職者は給与を引き上げることができる可能性がある。
調査会社Gartnerのアナリストであるスコット・イングラー氏によると、新型コロナウイルス感染症の流行に伴ってテレワークが広がったことで、企業は遠隔地に住む人材を雇用しやすくなり、企業への人材供給も活発化した。
テレワークによって、ITエンジニアの生活費も変化した。現在オフィスの近くに住んでテレワークをするITエンジニアは、生活費の安い都市に転居したいと考える可能性がある。
クラウドエンジニアの給与を左右する2大要因は、自分の持っている資格の数と、居住地だ。前後編にわたり、新型コロナウイルス感染症の流行とテレワークの普及が、これらの要因に及ぼす影響を解説する。
ITエンジニアは、スキル向上のためにクラウド技術の資格を取得することがある。資格の習得は収入アップのための手頃な手段でもある。ITスキルのトレーニングサービスを提供するGlobal Knowledge Trainingが発表した「2019 IT Skills and Salary Report」(2019年版ITスキル&給与報告書)によると、複数の業界や地域で実施した調査で、資格を持つITエンジニアの方が持たないITエンジニアよりも収入が多いことが判明した。資格の数が増えるほど、給与も少しずつ増える傾向にあった。北米では、資格を持つITエンジニアの収入は、資格を持たないITエンジニアより7%多く、資格が1つ増えるごとに給与は2%前後増えていた。
北米で高い給与の獲得を見込める上位10個のIT資格のうち、4資格はクラウド関連だった。1位はGoogleの認定資格である「Professional Cloud Architect」で、保持者の平均年収は15万2129ドル(約1615万円)だった。Amazon Web Services(AWS)の認定資格である「AWS Certified Solutions Architect - Associate」「AWS Certified SysOps Administrator - Associate」「AWS Certified Developer - Associate」の3種類は、約13万ドル(約1380万円)の年収に結び付く。
Global Knowledge Trainingによれば、複数のクラウド関連資格の横断的な取得も、ITエンジニアの給与を上昇させる強力な手段になる。北米ではAWS認定資格の横断的な取得が、特に給与にプラスの影響を与える。AWS認定資格をVMwareやCisco Systemsなどのベンダー、またはIT業界団体のCompTIAの資格と組み合わせることも有効だ。
試験会場で開催する資格試験は、感染症防止の観点から中止されていることがあるが、オンラインで受験できる資格試験もある。
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