2021年04月28日 08時00分 公開
特集/連載

Wi-FiのQoSを制御する標準規格が登場 QoSで何が変わるのかトラフィックの優先度設定が可能

Wi-Fi Allianceは、Wi-Fiにトラフィックの優先度を制御する標準規格を策定した。この規格がWi-Fiに実装されることでどのようなメリットがあるのだろうか

[Joe O'Halloran,Computer Weekly]
iStock.com/metamorworks

 Wi-Fi Allianceがワイヤレス接続規格に「Wi-Fi CERTIFIED QoS Management」を導入する。トラフィックに付加する優先順位を標準化する規格で、これによってリアルタイムアプリケーションでのWi-Fiエクスペリエンスが向上する。

 Wi-Fi CERTIFIED QoS Managementは「Wi-Fi CERTIFIED WMM」を基礎とし、Wi-FiネットワークのQoS(Quality of Service)処理にエンド・ツー・エンドで一貫性のあるアプローチを実現するというのがWi-Fi Allianceの見解だ。

 Wi-Fi CERTIFIED QoS Managementの目的は、クライアントアプリケーションからのQoS処理の要求やネットワーク管理者によるQoSポリシーの実装を可能にするメカニズムを標準化することにもある。これによって、ユーザー端末とアクセスポイントはアプリケーションに応じたトラフィック優先度の識別が可能になる。

 Wi-Fi CERTIFIED QoS ManagementにはWi-Fi機器、アプリケーション、ネットワーク管理者がトラフィックフローに優先順位を付けられる2つの技術が導入されている。

 「MSCS」(Mirrored Stream Classification Service)は、「Mirrored」(ミラーリングされる)QoSという考え方に基づき、トラフィックに任意の優先度を割り当てるよう要求する簡単な手段をユーザー端末のアプリケーションに提供する。この双方向のQoS処理によってアプリケーションの遅延が削減され、Wi-Fiチャネルが混雑していても良好なWi-Fiエクスペリエンスを実現する。

 「DSCP」(Differentiated Service Code Point)マッピングは、ネットワーク全体でネットワーク管理者がアクセスポイントとユーザー端末の両方からのトラフィックを特定のQoS優先度にマッピングできるようにする。その結果、没入感が高いリアルタイムアプリケーションでのエクスペリエンスの改善、オンラインゲームのプレイや対話型のクラウドサービス、エッジサービスへのアクセスにおける遅延やジッタの削減など、「堅牢(けんろう)な」サービス提供と高品質のWi-Fiが実現するとWi-Fi Allianceは述べている。

 住宅用ネットワーク、企業ネットワーク、パブリックネットワークにもメリットがあるとWi-Fi Allianceは補足する。ビデオ会議、インタラクティブゲーム、拡張現実、仮想現実、IIoT(産業用IoT)、医療モニタリングなど、低遅延や低ジッタが求められるアプリケーションを使う場合は特にメリットがあるという。

 企業ネットワークでは、ネットワーク管理者がDSCPマッピングによってビデオ会議のトラフィックの優先度を高くしたり、ミッションクリティカルなサービスのためにマッピングテーブルを設定したりできる。

 Wi-Fi Allianceのエドガー・フィゲロア氏(プレジデント兼CEO)は次のように語る。「現在のWi-Fiネットワークは、リアルタイムアプリケーションが必要とする大量のデータを送受信している。リアルタイムアプリケーションは、エクスペリエンスを高めるためにトラフィックの優先度を把握する必要がある」

 最初のWi-Fi CERTIFIED QoS Management製品の一つとして相互運用性のテストベッドとなる機器を提供するメンバー企業には、Airties、Broadcom、Intel、Qualcomm Technologies、CommScope、ASSIA、ON Semiconductorなどがある。

 Airtiesのメティン・タスキン氏(CTO:最高技術責任者)は次のように話す。「リアルタイムアプリケーションのパフォーマンス強化を目的とするWi-Fi Allianceの新たな取り組みを、当社は高く評価している。当社をはじめとする世界中のサービスプロバイダーが提供する高度なスマートWi-Fiソフトウェアやクラウド管理ソリューションを補完するのにこの機能が役立つのは間違いない」

 Broadcomのトーマス・デラム氏(ワイヤレス通信および接続部門の主任科学者)も次のように補足する。「Wi-Fi CERTIFIED QoS Managementは、モバイル機器やゲーム機器のアプリケーション開発者やベンダーが家庭や企業のWi-Fiネットワークで双方向のトラフィックフローを巧みに処理できるツールになる。その結果、全てのアプリケーションが必要とするサービス品質を実現する」

 「これはまた、ネットワーク管理者によるシステムレベルでのQoSの管理を可能にする必須のツールにもなる。Wi-Fi CERTIFIED QoS Managementと『Wi-Fi 6E』を組み合わせることで、企業、運用担当者、ユーザーはライブ動画ストリーミング、ゲーム、拡張現実、仮想現実などのアプリケーションを、周波数帯が混雑した厳しい環境下でも快適に利用できるようになる」

 Wi-Fi AllianceはWi-Fi CERTIFIED QoS Managementの公開に先立つ2021年1月、Wi-Fi 6Eエコシステムの成長を促すために6GHz周波数帯のワイヤレス標準を強化すると発表した。Wi-Fi Allianceによると、この新しい仕様によってメンバーはAFC(自動周波数調整)制御下で機能するさまざまなWi-Fi 6E製品を開発できるようになるという。

ITmedia マーケティング新着記事

news020.jpg

SDGsステートメント策定までにやったこと 眞鍋和博氏(北九州市立大学教授)と語る【後編】
前編に引き続き、LMGのSDGs推進活動をご指導いただいた北九州市立大学教授の眞鍋和博氏と...

news014.jpg

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2021年8月)
マーケティングオートメーション(MA)ツールの顧客ドメイン数ランキングを紹介します。

news101.jpg

「日本企業的DX」の神髄(無料eBook)
「ITmedia マーケティング」では、気になるマーケティングトレンドをeBookにまとめて不定...