「SEOを考えたツール命名」はどのくらい重要か【前編】
名付けに「SEO」が必要な“納得の理由” なぜFluentdの「d」はそこにあるのか
「Fluentd」の名前は、以前は「Fluent」だった。なぜ「d」が付いたのか。その背景には検索エンジンの存在があった。Fluentd命名のいきさつを背景に、ツール命名におけるSEOの重要性を解説する。
データ収集ツール「Fluentd」の名前にはどのような由来があるのだろうか。私は最近、そうした疑問を持った。
Fluentdは継続的かつ大量に発生するデータである「ストリーム」(streams)を集約する。ストリームは動く液体(fluid)の意味も持つ。このことから、ストリームを管理するツールに「Fluent」という名称を付けるのは理解できる。だが名称はFluentdであって、Fluentではない。最後の「d」は、なぜ付いたのか。
この疑問は、Fluentdの実態を調べることで解決した。Fluentdはデーモン(常に稼働するプロセス)だ。「d」が「daemon」のことだと推測するのに、それほど大きな論理的飛躍はない。
Fluentdのコントリビューター(ツール開発プロジェクトへの貢献者)である田村清人氏によると、Fluentdの当初の名称は「Fluent」だった。「このツールでデータソースからシンクへのデータのストリーミングがもっと『流ちょうに』(fluent)なるようにとの意図を込めた」と田村氏は語る。同氏はデータマネジメントベンダーTreasure Data(2018年にArmが買収)のチーフカスタマーオフィサーを務める。
ツールの名称の大切さ
だがFluentと命名したコントリビューターはすぐに、この名称が大きな問題をはらんでいたことに気付く。それは検索エンジンが持つ曖昧性だ。
「fluent」は、新しい自然言語を習得しようとする学習者が頻繁に検索する単語だ。検索エンジンが表示する「fluent」の検索結果は、言語学習に関するリンクを無数に含む。「『fluent』は自然言語と最も密接に関連する」と田村氏は言う。
新しいツールが普及する上で重要な要素は、そのツールを使って新しいユーザーがどれくらい簡単に問題を解決し、どれくらい短期間でツールの使い方を習得できるかだ。検索エンジンの曖昧性という重大な問題に突き当たったFluentdのコントリビューターらは、「デーモンの名称に『d』の文字を付ける」という「UNIX」の慣例に従うことにした。
そしてFluentdという名称が誕生した。「名称の変更によって、インターネットの膨大な情報の海の中からFluentdを見つけるのがずっと簡単になった」と田村氏は言う。Fluentdの例は、「SEO」(検索エンジン最適化)の観点でツール名称を検討することの重要性を示す好例だ。FluentからFluentdへのツール名称変更は、単純だが重大だった。そして間違いなく、新ツールの名称を模索する開発者にとっての教訓になった。
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