Googleの認定資格「Professional Cloud Architect」が定義するクラウドアーキテクトとエンジニアの違いとは何か。クラウドアーキテクトに必要な心構えとは。同社の担当者に聞いた。
IT管理者がクラウドアーキテクトとしてのキャリアを歩むときに役立つ資格の一つが、Googleの認定資格「Professional Cloud Architect」だ。同社でセキュリティソリューションマネジャーを務めるイマーン・ガーニザダ氏は、著書『Google Cloud Certified Professional Cloud Architect All-in-One Exam Guide』(以下、オールインワン試験ガイド)で、Professional Cloud Architectの試験合格に役立つノウハウを紹介している。前編「Googleのクラウド資格『Professional Cloud Architect』を取得すべき人とは?」に引き続きガーニザダ氏の話を基に、Googleの認定資格におけるクラウドアーキテクトの役割と、クラウドアーキテクトに必要な思考法について説明する。
―― オールインワン試験ガイドの冒頭では、クラウドアーキテクトは自社のITを取り巻く状況に加え、自社のビジネスに関しても理解する必要があると書かれています。その2つを兼ね備えることが、なぜそれほど大切なのでしょうか。
ガーニザダ氏: エンジニアや運用の担当者は一般的に、IT関連のタスクの解決に専念する。アーキテクトの世界に足を踏み入れると、可用性や拡張性が高く、全エンドユーザーが利用できるシステムの構築に仕事の照準が移る。そのエンドユーザーは写真共有アプリケーションの「Snapchat」を利用する何十億人ものコンシューマーになることもあれば、高度なデータベースにアクセスする数十人の社内ユーザーになることもある。
クラウドアーキテクトは、自分が設計するクラウドインフラで支えるビジネスと、自分が解決すべき問題を理解する必要がある。これはコスト効率が高く、ビジネスにおける目標や製品、機能の将来的な展開に合わせて拡張できる、耐久性と拡張性の高いクラウドインフラの構築につながる。
―― Professional Cloud Architectの試験に備えるためには「アーキテクトの思考」に切り替える必要があるとのことですが、切り替えるためにはどうすればよいのでしょうか。
ガーニザダ氏 Professional Cloud Architectは、エンジニアとして問題を解決するノウハウを持つ人だけを対象としているわけではない。
クラウドアーキテクトはシステムの設計と構築を担う。そのため自社のビジネスにおける目標と、技術的なニーズの両方を考える必要がある。単に運用の問題を解決するだけでなく、実際に何かを構築するという心構えを必要とする。
当社の別の認定資格である「Associate Cloud Engineer」の取得を目指す場合、方向性は完全に異なる。エンジニアはシステム運用の問題に目を向け、トラブルシューティングを実施して解決する必要がある。
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