ストレージ価格が反転「値上げ」が続きそうな“端的な理由”はこれだベンダーは値上げを継続【後編】

ストレージ価格は2023年の後半まで下落傾向にあったが、最近はクラウドサービスの値上げが続くのと同様に上昇傾向にある。反転の背景にあるものは何か。

2024年04月05日 08時30分 公開
[John MooreTechTarget]

 クラウドサービスの利用料金が上昇し続けているように、ストレージの価格も上がり始めた。2024年1月に米国政府が発表した生産者物価指数(PPI)のストレージの指数は前月から0.1%増加した。ストレージのPPIは、2023年から低下が続いていたが、同年9月から上昇に転じ、2024年1月まで5カ月連続で上昇している。ストレージ価格の下降傾向が反転した背景にあるものは何か。

ストレージ価格「上昇」が続きそうな背景にあるものとは?

 ストレージ価格の上昇の原因の一つは、ストレージ市場の主要製品である「NAND型フラッシュメモリ」が値上がりしていることだ。「NAND型フラッシュメモリは、コスト割れで販売されていた2023年半ば以降、価格が大幅に上昇した」と、調査会社Objective Analysisの半導体とSSD担当のアナリスト、ジム・ハンディ氏は指摘する。

 Objective Analysisの分析によると、NAND型フラッシュメモリのスポット価格(1回限りの取引での価格)は2023年後半以降、急上昇している。NAND型フラシュメモリのほとんどの顧客は、一定期間の供給を前提とした契約価格で取引するが、スポット価格は契約価格の先行指標となる。実際に契約価格は上昇傾向にある。調査会社TrendForceは、2024年第1四半期(2024年1〜3月)におけるNAND型フラッシュメモリの契約価格が、前年同期比で26.3%上昇すると推計している。

 TrendForceによれば、NAND型フラッシュメモリの価格の上昇は需要が回復していることとベンダーが増産に転じたことが原因だ。

 SSDの製造コストはNAND型フラッシュメモリが約80%を占める。そのため、NAND型フラッシュメモリの価格が上がれば、SSDの価格も同様に値上げになる可能性がある。今後は2024年半ばまでに価格が安定し、2024年7月以降は再び低下する見通しだ。AI(人工知能)技術関連の製品・サービス支出が2024年の半ばまでけん引し、その後落ち着くからだ。

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