生成AIを動かすインフラとして、メインフレームは今後再び注目を集めることになるのか。企業によるモダナイゼーションに向けた動きと併せて解説する。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の活躍の幅が広がっている。昨今企業の関心を集めるのが、メインフレームと生成AIに関連する動きだ。レガシーアプリケーションのモダナイゼーション(近代化)は、生成AIでどのように変化するのか。
メインフレームのモダナイゼーションを手掛けるEnsonoでアライアンス担当バイスプレジデントを務めるゴードン・マッケナ氏は、次のように話す。「膨大なメモリ容量と処理能力を備えたメインフレームは、AIワークロード(AI技術を組み込んだシステム)を稼働させるインフラに適している」
Ensonoと同じくメインフレームのモダナイゼーションを担うAdvancedが2024年2月に発表した調査「Mainframe Modernization Business Barometer Report」によると、ITリーダー400人のうち29%が「メインフレームでのAI活用を検討している」と回答者した。
Ensonoの顧客の中には、IBMのAIプラットフォーム「watsonx」をメインフレームで稼働させる企業が存在する。watsonxで利用できるソースコード変換ツール「IBM watsonx Code Assistant for Z」は、メインフレームアプリケーションを構築するプログラミング言語「COBOL」のプログラムを「Java」に変換できる。「watsonxは、IBMが2007年に開発したAI『IBM Watson』に新たな息吹を吹き込んでいる」とマッケナ氏は言及する。
一方で、メインフレームアプリケーションをクラウドサービスに移行して、OpenAIの「GPT」やAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Bedrock」、Googleの「Gemini」といった生成AIツールと組み合わせて使いたいと考える企業も存在する。
先述したAdvancedの調査では、ITリーダー400人のうち52%が「AI技術の登場によって、メインフレームからクラウドサービスへの移行が加速した」と回答。Ensonoはこのようなクラウドサービスでの生成AI活用も支援しているという。
次回は、生成AIがモダナイゼーションにもたらす新しい視点を解説する。
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