生成AIをオフィススイートなどのソフトウェア製品に組み込み、業務効率化を支援する動きがある。生成AIの“組み込み”は、基幹業務のどこまで食い込んでいくのか。
学習したデータを基に新たなデータを自動生成する人工知能技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)を取り巻く動きは依然として活発だ。さまざまなITベンダーが、自社製品に生成AIを組み込もうとしている。
システムインテグレーターInsight Enterprisesの最高技術責任者(CTO)のデイビッド・マカーディー氏は、「2024年はアプリケーションに生成AIを組み込む動きがさらに活発になる」と予測する。既にオフィスアプリケーションの分野では生成AI組み込みの動きが見られるが、今後は基幹系システムを含めてどこまで広がるのか。
2024年2月、Googleはメールサービス「Gmail」や文書作成ツール「Google ドキュメント」などを含むオフィススイート「Google Workspace」に、AIモデル「Gemini」を組み込み始めた。Microsoftは「Microsoft Copilot for Microsoft 365」を2023年11月に発表した。同サービスは、サブスクリプションサービス「Microsoft 365」の各アプリケーションで大規模言語モデル(LLM)の機能を使用できるようにするツールだ。
GoogleやMicrosoft、Amazon Web Services(AWS)などの大手ベンダーはさまざまな生成AIツールを提供している。それに伴い、ユーザー企業が生成AIツールを導入する動きが広がりつつあり、ベンダーのパートナー企業は生成AIツールに精通したコンサルタントの育成に力を入れている。
パートナー企業は、ユーザー企業が基幹業務で使うアプリケーションへの生成AI組み込みにも注目している。メインフレームで稼働するアプリケーションも生成AI組み込みの対象になる可能性がある。
ユーザー企業はそれぞれ特有のアプリケーションやサービスを使っている。それらも生成AI組み込みの対象になり得るということだ。「ビジネスの根幹を支える基幹アプリケーションに生成AIを組み込めば、大きな業務効率化の効果を実感できるはずだ」とマカーディー氏は語る。
Insight Enterprisesも例に漏れず、同社が提供するバックオフィスアプリケーションにAI技術を組み込む計画を進めている。
次回は、AI機能を稼働させるインフラとしてのメインフレームの可能性について考察する。
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