「Zoom爆撃」訴訟が93億円で和解へ “大企業は和解金ゼロ円”の深い訳原告側弁護士も“お手上げ”

プライバシー保護の不備が争点になっていた「Zoom」の集団訴訟は、和解金8500万ドルの支払いで仮合意となった。和解金は有料、無料ユーザー両方が対象となるが、大企業向けプランのユーザーは対象外だ。なぜなのか。

2021年09月04日 05時00分 公開
[Mike GleasonTechTarget]

 Zoom Video Communicationsは2021年7月、同社のWeb会議ツール「Zoom」がユーザーのプライバシーを侵害したとして起こされていた集団訴訟について、和解金8500万ドル(約93億円)を支払うことで合意した。和解金を受け取る対象には、小規模企業向けプランのユーザーが含まれる可能性がある。大企業向けの最上級プランである「Enterprise」(企業)プランのユーザーは対象にならない。

 2020年に始まったこの集団訴訟は、Zoom Video CommunicationsがZoomに十分なセキュリティ対策をしていなかったことや、エンドツーエンド通信暗号化を提供しているという虚偽の宣伝をしていたことを訴えていた。Zoomの脆弱(ぜいじゃく)性は、Web会議に招待していないユーザーが乱入して会議を妨害する「Zoombombing」(Zoom爆撃)という迷惑行為を招いていた。同社がユーザーの個人情報を無断でFacebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と共有したことも訴訟の焦点になっていた。

 和解案において、Zoom Video Communicationsは過失を否定している。正式な和解成立には、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所判事の承認を得る必要がある。

大企業向けプランのユーザーが“和解金ゼロ円”を受け入れざるを得ない理由

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