共感力などの「ソフトスキル」を重視するリーダーと、そうでないリーダーの違いを生む要因とは。適者生存の企業文化と、共感力やマインドフルネスなどを重視する企業文化はどちらが生き残るのか。
共感力や謙虚さ、マインドフルネスなどの非定型スキルである「ソフトスキル」が、自動化技術が広がる中で注目を集めている。書籍『Hyper-Learning: How to Adapt to the Speed of Change』の著者で、University of Virginia Darden School of Businessの経営学教授であるエドワード・D・ヘス氏はソフトスキルの重要性を伝える一人だ。本連載は、過去3回にわたりソフトスキルが重要な理由(第1回「『ハイパーラーニング』とは? 自動化が進んでも生き残る方法」)、ソフトスキルを伸ばすためにリーダーが支援できること(第2回「上司が部下の『ソフトスキル』を伸ばすには“あれ”を定義すべし」)、リーダーがソフトスキルを重視すべき理由(第3回「『上司のソフトスキル』が低い“残念な企業”の末路」)を紹介してきた。第4回は、ソフトスキルを重視するリーダーと、そうでないリーダーが生まれる要因を解説する。
―― 親切さや思いやりなどのソフトスキルに関心を持つリーダーとそうでないリーダーを分けているのは何でしょうか。ソフトスキルの強化に関心がある多くのリーダーと仕事をしてきたご経験から見えるものは。
ヘス氏 ソフトスキルに関心を持つかどうかは、その人物がどのように育ってきたか、どのような形で成功を収めてきたかに大きく依存します。ソフトスキルが高く評価される組織で働いていたり、行動を変えるためにソフトスキルが必要な場面を経験したりしたことで、優れたソフトスキルを備えたリーダーもいます。一方でソフトスキルがなくても成功してきたために、ソフトスキルに注目する必要がなかったリーダーも数多く存在します。ただし、こうした状況は今後変わると考えています。
現時点の多くの企業文化は適者生存の競争モデルに基づいています。これは、先ほど述べたようなソフトスキルを重視する環境では役に立ちません。共感力、謙虚さ、マインドフルネス、集団的知性のようなものを重視することは大きな変化であり、それを受け入れられない人もいるでしょう。
―― あなたは瞑想(めいそう)を支持していますが、瞑想は社会的交流にそれほど重要なのでしょうか。
ヘス氏 通常、人間の心は騒がしく、自らを批判しては動揺しています。瞑想をすると、集中力が鍛えられます。つまり、その瞬間のありのままを受け止め、気が散っても集中力を取り戻せるようになるのです。
最終目標は「内なる平和」です。つまり、穏やかな自我、穏やかな心、穏やかな身体を持ち、ポジティブな感情が保たれるようにします。そうすれば他者と意見が異なったときに、偽りなく中立的な方法で耳を傾けることができ、心を広く持てるようになり、反射的あるいは自己防衛的に反応することがなくなるでしょう。
デジタル時代における戦略的差異化の鍵は、職場の会話の質です。これは、従業員が自分自身をいかに律し、どのように行動するかに大きく左右されます。
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