クラウドを安く使う「ベンダー交渉」ですべきことと、絶対にしてはいけないことクラウドベンダーとの「SLA」「料金」交渉のこつ【後編】

ユーザー企業はクラウドサービスのSLAや料金について、クラウドベンダーと交渉して納得できる契約内容を締結する必要がある。良い結果を得るために、交渉時に注意すべきことを説明する。

2021年12月22日 08時15分 公開
[Tom NolleTechTarget]

 クラウドサービスの導入で期待通りの成果を得つつ、料金を抑えるには、クラウドベンダーと交渉する必要がある。中編「クラウドを安く使う『ベンダー交渉』に失敗しない“最低限やるべきことリスト”」に引き続き、ユーザー企業にとってクラウドサービスの契約内容をより良いものにするための交渉のポイントを説明する。

SLAの内容を明確にする

 クラウドベンダーとの交渉が進んだら、IT管理者は提示された見積もりに基づいて契約書を提示してもらうようにする。その契約書に、サービスの品質と性能を保証するサービスレベル契約(SLA)の項目が含まれていることを確認する必要もある。クラウドベンダーにサービスのスペックと可用性を保証してもらうために、SLAに必須の要素は以下となる。

  • サービスのスペックと可用性の定義
  • クラウドベンダーがクラウドサービスで起きた問題を解決するまでの時間
  • 契約の解約と更新の条件

 SLAには、保証すべき数値指標の測定方法や問題の報告方法、SLAが満たされない場合のクラウドベンダー担当者から上長への連絡経路なども具体的に記載されている必要がある。ユーザー企業のIT担当者にとって受け入れられない条件が定められていた場合は、料金の交渉に進む前に解決した方がよい。

コストを明確にする

 クラウドベンダーとの交渉を値引き要求から始めるのは避けた方が無難だ。その前に、クラウドベンダーの提案がプロジェクトの費用対効果(ROI)に関する自社の要件を満たさないために、上長承認を得られないのではないかという懸念を交渉材料にするとよい。将来的に何らかの理由でクラウドサービスの料金が増大した場合、自社プロジェクトの継続が危ぶまれるという懸念を表明するのも良い方法だ。

 値引きのため、またはコスト超過を防ぐために、自社のプロジェクトメンバーに別のアプローチがないかどうか尋ねるのもよい。思うような値引きができない場合は、レスポンスタイムの改善など、SLAの他の項目で折り合いを付けるのも一つの手だ。

 交渉が壁にぶつかったとしても、決して高圧的な態度を取ってはいけない。ユーザー企業とクラウドベンダーが双方にとって合理的なやりとりをすることで、よりユーザー企業の要件に合った契約内容を引き出すことができる。

 どうしても納得がいく契約が結べない場合は、最後にもう一度だけ以下の方法を試してみるとよい。ユーザー企業の要件にできるだけ沿った形でクラウドベンダーに契約内容を見直してもらい、問題がコストであれば、より安価な提案を要求する。問題がクラウドサービスの機能やスペックであれば、要件を満たす別の提案をしてもらう。それでもうまくいかない場合は別のクラウドベンダーを検討するか、クラウドサービスの要件を見直す必要がある。

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