ベンダーの営業担当者からはサポート提供時間が「24時間365日」だと説明を受けたのに、週末のサポートは音声応答のみ――。SaaSのSLAで、そうした事態を防ぐために確認すべきポイントは。
前編「いまさら聞けない、SaaSの『SLA』で必ず確認すべきチェックポイントとは」は、SaaS(Software as a Service)ベンダーとサービスレベル契約(SLA)を結ぶ際に気を付けるべきチェックポイント4つのうち、2つを紹介した。後編は、残る2つのチェックポイントを紹介する。
SLAには、ベンダーのサポート提供時間と問い合わせ方法も記載されるため、定期的に確認する必要がある。ベンダーが全ての問題に同じように対処できるとは限らない。ベンダーがどのような問題なら対処できるかを把握しておく必要がある。ベンダーのセールストークでサポート提供時間を「24時間365日」だと聞いていたユーザー企業は、この事態に驚くだろう。サポートデスクに連絡したのが週末の場合、サービス音声のみが応答する可能性もある。その後、問い合わせ内容を確認した技術者がユーザー企業に連絡するのには数時間かかる恐れがある。
サポートのプロセスは、通常はSLAに詳しく記載される。だが最初のセールストークでは、恐らく触れられない。これをSLAのチェックリストに含めるかどうかはユーザー企業の判断による。注意すべき点は、ベンダーが24時間体制でサポートスタッフを配備しているとしても、いつでもすぐに誰かと電話がつながるとは限らないことだ。午後5時を過ぎれば、ベンダーはメールでのサポートに切り替え、通常の営業時間になるまで問い合わせがあった問題に対処しない可能性がある。
SaaSベンダーがどのようにサポートを提供するかは重要な要素だ。そのため細部まで詰めておく必要がある。
サービス停止時間、サービスのスペック、問い合わせへの返答タイミングなどの重要事項を評価するため、SaaSベンダーが使用する指標を確認する。
例えばSLAに「4時間以内のオンサイト/サービス提供」と書かれていた場合、ユーザー企業はベンダーが長時間のダウンタイムを防ごうとしていると考えがちだ。だがユーザー企業がサポートを依頼してから4時間以内に、技術者が電話やメールを返すというだけの可能性もある。その場合は問題解決にはさらに数時間から数日を要する。詳細がSLAに記載されているとしても、見過ごしやすい細かい文章の中に埋もれている恐れがある。
こうした指標は、ベンダーの利益のために用意されている可能性があるので注意が必要だ。例えばベンダーは概して、分単位または時間単位で利用料金を請求することは明記している。だが課金を始めるタイミングがはっきりしていない可能性がある。1時間1分と1時間59分の利用料金は同額だろうか。ほとんどの場合その答えは「同額」だ。SaaSベンダーが不誠実というわけではない。ただし必ずSLAを精査してこれらの詳細を確認しなければならない。
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