「5G」と「FTTH」の重要性にやっと気付いたあの国 “在宅勤務の課題”は世界共通テレワークには「高速通信」が基本【後編】

パンデミックでテレワークへの転換が一気に進んだ。これに並行して変わりつつあるのが通信サービス分野だ。「5G」や「FTTH」などブロードバンドの利用状況について、英国を参考に見てみよう。

2022年02月07日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって在宅勤務などのテレワークが強く求められる中では、広い帯域幅(回線容量)の通信サービスをいかに活用するかが重要だ。前編「『遅い割高通信』と『高速なFTTH』の格差が広がる先進国の事情」は、英国においてFTTH(光ファイバーによる通信サービス)の利用が急速に広がった事情に触れた。

 英国情報通信庁(Ofcom)でネットワークと通信グループのディレクターを務めるリンジー・ファッセル氏は、「家庭では仕事や勉強や娯楽のために複数のデバイスを同時に使うようになっており、帯域幅(回線容量)の奪い合いになる」と述べる。

テレワークで拡大するのは「FTTH」か「5G」か?

 FTTHはテレワークを前提にした通信のさまざまなニーズを満たすことができる。実際、前編で触れた通り、英国ではテレワークが広がる中でFTTHの利用が急速に拡大した。ただし、FTTHを利用できない世帯もある。ファッセル氏は「そうした地域に必要な接続を提供する取り組みを引き続き進める必要がある」と話す。

 英国ではFTTHの提供エリアが広がる最中だ。2021年にFTTHを新たに利用可能になった約300万戸のうち、Ofcomによればその4分の3は英国の通信大手BT Groupのブロードバンド(比較的高速な回線)事業部門Openreachが提供している。Openreachが尽力するのは、都市部にも地方にも同じようにFTTHを届ける取り組みだ。同社の規制関連担当マネージングディレクターを務めるマーク・シュルマー氏は、「英国でFTTHを利用できる世帯は800万戸を超えた。ただし利用していない世帯もまだ多く残る」と語る。

 ブロードバンドとしてテレワークを中心としたさまざまな通信のニーズを満たせるのはFTTHだけではない。2022年の通信分野の話題の中心は、FTTHではなく「5G」(第5世代移動通信システム)だ。英国情報通信庁(Ofcom)が2021年12月に公開した報告書「Connected Nations 2021」によると、英国の世帯の約半数が少なくとも1つの5Gサービスを利用可能な地域にある。英国における5G用スマートフォンの利用台数は2021年に大幅に増加し、2020年の約80万台から約600万台以上に増えた。2021年におけるモバイルデータの通信量は、2020年に比べて約37%増加した。

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