SSDを導入するなら、NVMeかどうかだけでなくPCIeの世代にも注目する必要がある。普及期に入ったPCIe 4.0対応は必須だ。PCIe 5.0以降についても知っておくべきだ。
PCI Express(PCIe)接続のストレージは、NVMe SSDが主流に躍り出たことでさらに注目度が高まっている。
何十年もの間、ストレージ接続のプロトコルはSCSIベース(SASやSATAなど)だった。そこに登場したNVMeは、既存プロトコルよりもI/O速度が桁違いに向上する可能性がある。
これはEDSFF(Enterprise and Data Center SSD Form Factor)によってさらに加速するかもしれない。EDSFFはPCIe 4.0以降に対応するNVMe SSD専用フォームファクターだ。
本稿では、PCIe 4.0、5.0を説明し、6.0に期待できることを紹介する。EDSFFについては別記事で取り上げる。
PCIe規格の策定は製品化までに数年を費やすのが一般的で、さらにCPUやチップセットなどの広範なエコシステムのサポートが必要だ。
PCIe 4.0が発表されたのは2011年で、これが2022年時点の最新のPCIe規格だ。PCIe 4.0のリンク速度は16Gtps(Gigatransfers per second)で、最大で64GBpsの帯域幅を実現する。
各世代のPCIeは前世代の2倍のパフォーマンスを持つ。PCIe 5.0は32Gtpsで、128GBpsの帯域幅になる可能性がある。PCIe 5.0対応製品はまだ少ない。2019年にはPCIe 6.0の作業に着手したことが発表されたが、製品化は数年先になるだろう。
2020年後半までにIntel、キオクシア、Samsung Electronics、Micron TechnologyがPCIe 4.0対応のフラッシュドライブ(容量30TB以上)を発売。2021年にはIntelがPCIe 4.0をサポートするCPU「Ice Lake」をリリースした。
最近では、EDSFFフォームファクターのドライブをIntel、キオクシア、Samsungが販売している。
Dell EMCは「PowerEdge」(Ice Lake搭載)でPCIe 4.0ドライブに対応し、IBMは「POWER9」ファミリーを採用したサーバからPCIe 4.0ドライブを搭載した。
NetAppは、ハイエンドオールフラッシュアレイ「AFF A900」をPCIe 4.0互換にすると2021年12月に発表した。
Pure Storageはハイエンド「FlashArray」ファミリーの「FlashArray//XLシリーズ」をPCIe 4.0とIce Lakeへのアップグレードによって強化した。
Hitachi Vantaraは一部でIce Lakeをサポートしているようだが、PCIe 4.0についてはあまり公にしていない。
PCIe 5.0ドライブはSamsungから入手できる。同社は2021年12月、「PM1743」で1.3GBpsの読み取りスループットと250万のランダムIOPSを実現したと発表した。これは同社のPCIe 4.0ドライブのパフォーマンスのほぼ2倍に相当する。2022年は1.92T〜15.36TBのドライブの大量生産に入り、そのフォームファクターは2.5インチM.2かEDSFFになる予定だという。
台湾のファブレスチップメーカーADATA Technologyも最大8TBのPCIe 5.0ドライブの提供を表明している。
ただし、しばらくはエコシステムのサポートが問題になる可能性が高い。Intelが提供するPCIe 5.0用CPUサポートは、現時点ではM.2ではなくPCIeスロットに限定されている。
PCIe 6.0は2021年後半に最終ドラフト仕様に到達した。製品化は2025年か2026年になる可能性が高い。
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