ビジネスを取り巻く環境が急速に変化する中で、CIOは常に「いつ、どのような技術を導入するか」という判断に追われている。新技術のきらびやかな広告を目にして導入を悩んだとき、最適な選択をするには。
新技術の宣伝文句に踊らされず、適切なIT戦略を立てるために、最高情報責任者(CIO)は何をすればよいのか。本連載は以下に示す3つの方法を紹介する。第1回「約9割が『DX』にプレッシャー CIOを惑わせる“あおり文句”の誘惑」に続く第2回となる本稿は、このうち1つ目を解説しよう。
「新技術のあおり文句の餌食にならないように、CIOは戦略的計画を心の支えとすべきだ」。調査会社Gartnerでリサーチバイスプレジデント兼アナリストを務めるジョン・デイビッド・ラブロック氏はそう話す。
やろうとしていることと、それを進めていく時間軸を組み合わせた計画が必要だとラブロック氏は指摘する。そうすれば「CEOや経営幹部が宣伝に踊らされて『これはまさにわれわれが求めていた期待の技術だ』と言い出したとき、適切な答えを返すことができる」と同氏は語る。
CIOはビジネスの成果を第一に考えた技術導入計画を立てることで、「自社が必要とする技術は何か」を明確化できるようになる。技術導入計画を用意しておき、導入を検討しているIT製品が「いつ、どこで、どのような理由で計画に合致するのか」を答えられるようにしておく。そうすれば「技術の宣伝文句に踊らされたり、新技術を導入しなければならないというプレッシャーを真に受けたりしなくて済む」とラブロック氏は説明する。
金融機関Principal Financial Servicesでシニアバイスプレジデント兼最高情報責任者(CIO)を務めるキャシー・ケイ氏は、このアプローチを取っている。「技術にこだわる前に、まず解決しようとしている課題と達成しようとしている結果を理解することが非常に重要だ」とケイ氏は考える。同社のエンタープライズアーキテクチャチームは、定期的に新たな技術を検証し、それが企業にどのような価値をもたらす可能性があるかを評価している。これには、ビジネスニーズの解決や顧客サービスの改善に有望な製品、サービスの試験運用も含まれる。
「個々の技術への投資判断は、その戦略的適合性はもちろん、そうした技術を実際に使いこなすチームの能力に依存する」とケイ氏は述べる。
第3回は、2つ目のヒントを紹介する。
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