約70%のITワーカーが転職を考えている。その理由の1位である「給与」を上げるのは容易ではない。だが理由の2位と3位を改善すればITワーカーを引き留めるチャンスがある。
Gartnerの調査によると、転職せず現在の会社にとどまるITワーカーは29.1%にすぎないという。オーストラリアとニュージーランド(23.6%)、アジア太平洋(19.6%)、ラテンアメリカ(26.9%)ではこの数値がさらに低いことも分かった。
この調査はさまざまな業界、職務、地域のITワーカー1755人を対象に行われた。30歳未満の人は50歳以上よりも転職する可能性が2.5倍高い。会社にとどまる可能性が高いのは、18〜29歳では19.9%、50〜70歳では48.1%であることも判明した。
Gartnerのグラハム・ウォーラー氏(バイスプレジデント)は言う。「ここ10年、ITワーカーが転職する最大の理由は給与だ」
今回の調査では、転職の主な理由として2番目に挙がったのは管理職の質、3番目は不適切なワークライフバランスだった。65%は勤務地の柔軟性、オフィスで働く時間、週4日制などのワークライフバランスが定着に重要だと評価している。
ウォーラー氏はCIO(最高情報責任者)やIT部門の上級幹部に、個々の従業員のモチベーションを理解するために人間中心のアプローチを勧める。
地域によっては、給与が転職理由になるとは限らないとGartnerは指摘する。ヨーロッパでは転職理由のトップに管理職の質の低さが挙がった。
「優秀な管理職は常に部下の権限を高めている。部下に共感し、部下を信頼する。未熟な管理職や命令によって管理する管理職は苦労している」
人間中心で従業員を管理する場合、事業活動をベースにするやり方は機能しない。「事業活動の指標は目的に沿わないものが多い。そうした指標は短期的な生産性向けに最適化されているにすぎない。これは転職につながるリスクがある」
例えばアジャイルソフトウェア開発で、作成するウィジェットの数やコードの量に注目することは、最終的な価値の尺度にはならない。「コード量が増えることは価値ではなく、技術的負債を生み出す」
管理職は、価値を提供できるチームの構築を目指すべきだ。従業員がシステムにログインしている時間の長さは生産性の測定値としては不適切だ。「適切な指標は成果ベースだ。チームが成果を出しているかどうかを考える」
指標は持続可能な業績とのバランスを取るべきだと同氏は推奨する。「短期の生産性と長期にわたる従業員の指標(会社にとどまる意志や燃え尽き症候群など)とのバランスを取る必要がある。つまり、生産性と従業員の精神的健康のバランスを取る必要がある」
Gartnerは、
ことで業績を高めるべきだとアドバイスする。
「ITワーカーがリスクにさらされることで最も影響を受けるのはCIOだ。オフィス勤務に戻そうとして大量退職に直面し、方針転換を余儀なくされたという話も耳にしている。ITワーカーは需要が多く、転職の可能性が高い。他の部門よりもリモートワークに慣れている。CIOは他の部門の従業員以上に柔軟な働き方を提唱する必要があるかもしれない」
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