新技術の宣伝文句には美辞麗句が並びがちだ。経歴の長いIT担当者の中には、あえて冷静に捉えようと考える人もいる。だが初めから「新技術は自社には関係ない」と考えるとチャンスを逃す可能性がある。
最高情報責任者(CIO)が適切なIT戦略を立てるためには、以下に示す3つのヒントを覚えておくとよい。第3回「IT投資の前に知っておくべき“あのコスト”とは? 知る方法は?」に続く本稿は、このうち3つ目を紹介する。
例えば自動化やブロックチェーンなどの技術について、「新しいから」「大げさな宣伝文句にまみれているから」という理由で拒否する企業がある。それは、大げさな宣伝文句に踊らされて新しい技術を導入するのと同じくらい非生産的だ。
調査会社Info-Tech Research Groupでアナリスト兼研究ディレクターを務め、CIOとしての実務にも携わるブライアン・ジャクソン氏は「CIOが創造力を発揮すべきだ」と話す。創造力発揮の一環として、CIOは新技術を調査し、実験し、ビジネスにおける可能性について評価することができる。
「新技術を“大げさな宣伝文句”だと見なして無視するのは簡単だが、あなたにとっては必要な解決策かもしれない。『新技術に関するポジティブな情報は単なる宣伝だ』という思い込みで、競争上の優位性を逃すことは避けたいはずだ」とジャクソン氏は言う。同氏は「可能性が無限大だとしたら、自分たちは何をしたいのか」「自社にとって可能な限り最善の結果とは何だろうか」と問い続けることが重要だと説明する。こうした取り組みは、自社の優先順位をどのように設定するかという考えにつながる。
自社の組織をうまく主導するには、CIOがアジリティ(俊敏性)とガバナンスのバランスを取らなくてはならない。「ほとんどの企業には毎年予算設定をするプロセスがあるが、本来は1回で終わるものではない」とIT専門家団体ISACAでガバナンスを専門テーマとするカレン・シオザキ氏は話す。「世界は変化するのだから、変化を優先して方向転換できるようにしなければならない」(シオザキ氏)
シオザキ氏は、同氏がCIOを務める企業の運営委員会とその月例会議で、新たなニーズや技術によってIT支出の調整が必要かどうかを検討するための議論に参加している。最近では、コンプライアンス規定を満たすために審査が必要なデータの量が、予想より大幅に増えてしまうケースがあったという。時を同じくして同氏のチームは、より効率的にデータを処理できる分析ツールを見つけた。検証の結果、手作業を減らし、コンプライアンス違反に対する罰金リスクを軽減できた。
鍵となるのは、状況の変化への適応力だ。その点では「ダイナミックに行動し、素早く適応できる企業の方が、慎重過ぎる企業よりもはるかに成功する可能性が高い」と調査会社Gartnerでリサーチバイスプレジデント兼アナリストを務めるジョン・デイビッド・ラブロック氏は言う。「ダイナミズムは最も大きな成功の指標だ」(ラブロック氏)
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