データセンターの円滑な運用には、サーバのOSの定期的な移行が欠かせない。OSを選定する上で有力な選択肢となるのが「Linux」だ。データセンターでLinuxが広く使われている背景には、何があるのか。
企業がデータセンターにあるサーバのOSを移行する理由は、スケーラビリティ(拡張性)の向上、レガシーインフラの刷新などさまざまだ。現場でOS移行を仕切る担当者は、複雑な問題に直面することがよくある。
データセンターのOS移行を成功に導くには、明確な方向性を持って念入りに計画しなければならない。OS移行に際して起こり得るシステム障害を予測し、回避方法を事前に考えることも重要だ。
企業がデータセンターで使用するOSにはさまざまな種類がある。大半は「Linux」をベースにしたディストリビューション(配布用パッケージ)か、Linuxと互換性があるOSだ。オープンソースであるLinuxは、活発な開発者コミュニティーを持ち、汎用(はんよう)性に優れている利点がある。
Linuxは複数のモジュールで構成されている。モジュールは、OSの中核要素であるカーネルの機能の一部を、カーネル本体から分離したバイナリファイルのことだ。必要に応じてモジュールを追加して機能を拡張できるので、処理するデータ量の増加とともにシステムを拡張する必要があるデータセンターでの利用に適している。「Amazon Web Services」(AWS)や「Google Cloud Platform」(GCP)、「Microsoft Azure」の3大クラウドサービスは、LinuxをベースとしたOSを採用している。
データセンターで使用されるOSは、Linuxではなくても、大半はLinuxと互換性がある。VMwareが開発した「Photon OS」は、コンテナを実行するための最小限の要素を備えたLinuxディストリビューションだ。
企業はデータセンターでのOS移行に取り組む際、まずはオープンソースのOSの採用を検討するとよい。これを通じて、どのようなOSが存在し、それぞれにどのような機能や採用のメリットがあるかを知ることができる。
後編は、データセンターでのOS移行を成功させるための各ステップを紹介する。
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