「命令型プログラミング」と「宣言型プログラミング」には幾つかの違いがある。開発者が意識すべき違いと、どちらを採用するのかを判断する際の比較点をまとめた。
プログラミング体系には、開発者が慣れ親しんできた「命令型プログラミング」と、それとは異なる「宣言型プログラミング」がある。両者の主な4つの違いを解説する本連載の後編は、3つ目と4つ目の違いと、選択に際する比較ポイントを取り上げる。
命令型プログラミングは、人による入力が介入しない処理を扱うことに適する。コーディングに関する自由度はあまりない。ソースコードの編集箇所が多くなると、その分バグが発生し得る箇所も増えることになるため、頻繁なソースコードレビューを実施することが重要になる。
宣言型プログラミングでは、開発者は細かい指示をソースコードに記述する必要がない。そのため宣言型プログラミングは、手軽に複雑な機能を実装したい場合に役立つ。ただし宣言型プログラミングが扱う構文には複雑なものが少なくない。開発者はソースコードを記述する上で困難に感じることがあったり、複雑な機能を実装するためにさまざまな仕様を理解する必要があったりする可能性がある。
命令型プログラミングのソースコードでは、処理をステップごとに記述する。0〜19の数字の中から6未満の数字を全て取り出す処理を、命令型プログラミング言語「Python」を使って考える。
以下のサンプルコードは0〜19の数字を保持するために、1行目でリスト(配列)の「small_nums」を用意する。3行目で繰り返し構文「for」と、連続した数字を生成する関数「range」を使い、変数「i」に0〜19の数字を順に代入しながら、4行目と5行目の処理を繰り返す。4行目では条件文「if」を使い、iが6未満かどうかを確認する。5行目でリストに要素を追加する関数「append」を使い、条件に合う数字をsmall_numsに追加する。
small_nums = [] for i in range(20): if i < 6: small_nums.append(i)
宣言型プログラミングのソースコードの構造も、上記と同じ例で考えよう。以下は宣言型プログラミング言語ではないが、Pythonを使って宣言的に記述したサンプルコードだ。リスト内包表記という構文を用いることで、上記の例と同じ処理を1行で記述している。だが処理の具体的な実行順序を明示しておらず、プログラムが実行順序を自動で判断する。
small_nums = [x for x in range(20) if x < 6]
命令型プログラミングは伝統的なプログラミング体系であり、依然として主流だ。だが開発すべきプログラムの複雑さが増すにつれ、逐一処理を記述しなければならない命令型プログラミングは、開発者に重い負担を掛けることになる。宣言型プログラミングを学ぶのに十分な教材があれば、開発者は宣言型プログラミングを用いて、スケーラビリティを備えたプログラムを開発できる。
比較する際は、たいていの場合、機能性と複雑性の観点から判断することになる。宣言型プログラミングでは、開発者は変数、処理の制御、分岐条件などを細かく設定する面倒な作業を回避できる。ただし今後、自由に関数を実行できるプログラムが重要になる可能性を排除することはできない。その際には、命令型プログラミングの方が価値あるプログラミング体系になる可能性がある。
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