企業におけるストレージ設計の変革を狙う技術「Software-Enabled Flash」(SEF)とは何なのか。業界関係者は、SSDの課題を突破する可能性があると期待を込める。
HDDに並び、企業の主要ストレージの座を獲得したSSD。データ量やコストの増大という課題が浮上する中、ストレージの業界関係者が「SSD利用の常識をひっくり返す存在」と説明するストレージインタフェース技術が登場した。その「Software-Enabled Flash」(SEF)とは、何なのか。
SEFはキオクシアが2020年に開発に着手した、SSD用のストレージインタフェース技術だ。SEFを使えば、ソフトウェア開発者はテナント(システムを管理する単位)の分離やレイテンシ(遅延)、データ配置などを制御できるようになる。「これらの制御は、コンピューテーショナルストレージ(ストレージに計算機能を組み込む設計)を使って通信効率の向上を図る中で、ますます重要になってきている」。調査会社Coughlin Associatesのプレジデントであるトム・コフリン氏はそう述べる。
キオクシアの米国子会社KIOXIA Americaの技術担当バイスプレジデントであるスコット・ステッツァー氏によれば、SEFはSSD利用における現状を覆す存在となる。SEFは、NAND型フラッシュメモリの機能や動作の制御をソフトウェア開発者に委ねることになるからだ。それによって、SSDのストレージコントローラーが独立して動作するために遅延が発生するという、現状の課題を突破できる可能性を秘める。
SEFを使用すれば、ソフトウェア開発者はSSDの導入後に、ニーズに合わせて制御をカスタマイズできるようになる。その結果、活用し切れていない空き容量やサイロ(孤立)化した容量の、有効な利用方法が見つかる可能性がある。
調査会社Objective Analysisで半導体およびSSDのアナリストを務めるジム・ハンディ氏によれば、サイロ化の解消はデータセンターにとって特に重要だ。容量の使用率が上がり、それがコストの抑制につながる。「SEFが普及するかどうかは、結局のところコストの問題だ」とハンディ氏は語る。
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