OpenAIの「ChatGPT」をはじめとするジェネレーティブAIの台頭は、アプリケーション開発に変化を促す。こうした中で開発者が成功し続けるためには、新たなスキルが必要になると専門家は述べる。それは何なのか。
「ChatGPT」は、人工知能(AI)技術の研究を手掛けるOpenAIが、2022年11月に公開したチャットbotだ。ChatGPTをはじめとした、AI技術でテキストや画像などを自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成型AI)は、アプリケーション開発および開発者の仕事に大きな影響を及ぼす可能性があるという。どういうことなのか。
「開発者は、もはや定型的なソースコードを書く必要がなくなる」――。AI技術の調査機関であるMontreal AI Ethics Instituteの創設者兼プリンシパルリサーチャー、アビシェーク・グプタ氏はこう言い切る。開発者は、アプリケーションのアーキテクチャ構築やセキュリティといった「より複雑な分野に注力できるようになる」とグプタ氏はみる。
カリフォルニア州コンコードのフリーランス技術コンサルタント、ロブ・サスエタ氏も、グプタ氏の見方に同意する。「ChatGPTは、既に実用的なソースコードを書く実力がある」とサスエタ氏は指摘。ChatGPTが生成するソースコードを受け取ったら、開発者は自分のニーズに合わせてそれを修正するだけでよくなる可能性があるとみる。「開発者はAIシステムがまだ担うことができない、より手間の掛かる仕事に集中できる」(同氏)
汎用(はんよう)的かつ定型的なソースコードの記述など、ChatGPTはコーディングの一部を代替し得る。ただしChatGPTは「人のプログラマーに完全に取って代わることはない」とサスエタ氏は強調する。プログラマーの仕事は、コーディングだけではないからだ。「優れたプログラマーになるには、プログラムを設計し、ロジックに従って、部分の総和よりも大きな価値を生み出す力が必要だ」と同氏は言う。
ChatGPTなどのジェネレーティブAIは、新しい職種の道を開く可能性がある。例えばジェネレーティブAIによる思考を助ける「プロンプトエンジニア」は、AI時代には需要の高い職種になり得る。グプタ氏はプロンプトエンジニアのことを「魔術師のようだ」と言う。プロンプトエンジニアは、チャットbotから最良の結果を得るために必要な、AIモデルの構築に関する原理とテクニックを理解している。
ジェネレーティブAIの台頭は「データサイエンスに精通した開発者の需要を高める」とダンラップ氏は述べる。こうした開発者の例として同氏は、データサイエンスのライフサイクルを管理する「データサイエンスプラットフォーム」や、「Go」「Python」といったプログラミング言語を活用し、アプリケーションを設計、構築、テストできるエンジニアを挙げる。
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