なぜ老舗保険会社は「AWSへの全面システム移行」を選んだのか?保険会社のクラウド移行【後編】

保険会社はAWSのクラウドサービス群を利用することで、ビジネスと顧客に何をもたらそうとしているのか。同社CIO兼CDOや、AWS担当者の見方とは。

2023年04月11日 05時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 スイスの保険会社Zurich Insurance Group(Zurich Insurance Group)は、オンプレミスシステムを全面的にクラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)に移行させる。老舗の保険会社である同社がAWSを利用する背景には、「ビジネスの展開を迅速化しなければならない」という危機感がある。

老舗保険会社が重視する“データ中心”のビジネス

 Zurich Insurance Groupでグループ最高情報責任者(CIO)兼最高デジタル責任者(CDO)を務めるエリクソン・チャン氏は、「個人の顧客に対しては安全で健康的な生活を、法人の顧客に対しては安心をお届けしたい」と語る。その上でチャン氏は「顧客からの要望に応えるためには、デジタル技術を駆使する必要がある」と言う。

 AWSで営業およびマーケティング担当のシニアバイスプレジデントを務めるマット・ガーマン氏は、「Zurich Insurance GroupはAWSへのシステム移行によって、さまざまなメリットを享受できるようになる」と指摘する。例えばデータを中心に据えた事業展開を検討できるようになる。Zurich Insurance Groupはデータを活用すると同時に、業務プロセスの自動化や効率性の向上、顧客応対の迅速化などを進める。

 Zurich Insurance Groupは、1872年の創業から150年間以上にわたって保険商品を提供してきた老舗の企業だ。ガーマン氏は同社について「保険業界をけん引し、顧客とイノベーションを重視する企業であり続けている」と評価する。

 ガーマン氏は、Zurich Insurance Groupが持つ金融の知識とAWSのサービスが連携することで、Zurich Insurance Groupの事業はさらに進化できると期待する。「顧客のニーズ予測や、より顧客のニーズに沿った保険商品を提供できるようになる」(同氏)

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...