Uberがタクシーの運賃と乗務員の賃金設定に使うアルゴリズム。その内容の不透明性さをめぐって争いが起こった。労働者が陥る可能性のある理不尽な状況とは。
配車サービスを提供するUber Technologies(以下、Uber)は、ロンドンで展開するタクシー事業の運賃に「ダイナミックプライシング」(需要状況に応じて価格を変動させる手法)を導入した。同社はダイナミックプライシングの設定にアルゴリズムを使っているが、アルゴリズムの原理や使用している情報は明らかにしていない。この状況が招いた問題とは。
職場で収集された労働者の個人情報を自身でアクセスして洞察を得られるよう支援する非営利組織Worker Info Exchangeが2021年12月にレポート「Managed by Bots: Data-Driven Exploitation in the Gig Economy」を公開した。レポートは、「ギグエコノミー」(インターネットを介して、単発または短期で仕事を請け負う働き方)の労働者は、アルゴリズムによる監視と決定の影響を受けると指摘。そのアルゴリズムは「嘆かわしいほどに透明性が低い」と結論付けている。
2022年6月、スマートフォンのアプリケーションを使って業務を請け負うタクシー乗務員と配送業者が組織する労働組合App Drivers and Couriers Union(ADCU)はUberに対し、アルゴリズムに関する情報の開示を求めた。乗務員の個人情報のプロファイリング、業績の管理、業務の分配を決める基準を明らかにし、アルゴリズムの不透明性を払拭するようADCUはUberに要求している。Uberは依然としてアルゴリズムの透明性を確保できていないというのがADCUの見解だ。
2021年3月、スマートフォンのアプリケーションを使ってタクシーの配車事業を展開する2つの企業に対して、オランダのアムステルダム地方裁判所が判決を下した。企業はUberと、インドでタクシーの配車事業を展開するANI Technologies(Ola Cabs.comの名称で事業展開)だ。
訴訟はUberで乗務員を務める6人の代理でADCUが起こした。UberとANI Technologiesに対して、乗務員の業務と雇用に関する判断を実施する際に使用するデータを、裁判前よりも多く公開しなければならないという判決が下された。この訴訟は、企業が保有する個人情報に対する開示請求を求めた乗務員に対して、2社が透明性の高い情報を開示しなかったことに端を発したものだった。
アムステルダム地方裁判所は、「企業が保有するデータに対して乗務員が集団でアクセスしようとするのは、個人情報へのアクセス権の乱用に当たる」という企業側の主張を退けた。
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